2012年7月、スウェーデンで開催されたストックホルムオリンピック100周年記念マラソンに熊本市の蔵土義明さんが招かれ、温かい声援に包まれました。
明治45年に日本が初参加したストックホルムオリンピックは、当時世界記録を持っていた熊本出身の金栗四三選手がマラソンに出場するも猛暑で倒れ、沿道の民家で介抱されて、そのままレースを棄権したため、行方不明選手として語り継がれました。
その後、金栗氏は75歳のときにストックホルムオリンピック55周年の祝賀行事に招かれ、盛大な拍手の中、スタジアムでゴールインを果たしたのです。
その金栗氏のひ孫にあたるのが蔵土さんで、かつて曾祖父を助けてくれたスウェーデン人家族のひ孫タチアナ・ぺトレさんを訪ねて100年前の感謝を伝え、タチアナさんも見守る中、記念マラソンを走ったのでした。
「曽祖父が走れなかった残りの部分を走ることができた」と笑顔でゴールを切った蔵土さん。
55周年でゴールしても完走した訳ではなかった曾祖父の思いを引き継ぎ、100年の時を越えて、ひ孫が完走を果たしたのです。
そして昨年はタチアナさんが家族で熊本を訪れ、金栗氏のお墓参りをおこないました。
オリンピックが結んだ絆は今も走り続けているのです。