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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/14「時空を超えたボトルメール」

「ボトルメール」・・・これはビンの中に手紙を入れて密封し、海や川に流したものです。
今年の春先、ヨーロッパのバルト海沖合でボトルメールが引き揚げられました。
ボトルメールが漁船の網にかかるのはそれほど珍しいことではないのですが、そのビンは妙に古めかしいものだったため、漁師はドイツの国際海事博物館に持ち込みました。

鑑定の結果、手紙の主はベルリンのパン職人の息子で、20歳のリヒャルト・プラッツさんであることが判明。
ハイキングに出かけたときに、このビンをバルト海に投げ入れた、と書かれていたのですが、驚いたのはその日付。
なんと1913年―101年前に海に流されたボトルメールだったのです。

もちろん本人はもうこの世の人ではありません。
住所を頼りに探し出されたのは、リヒャルトさんの孫アンゲラさんでした。
博物館でその手紙を読んだアンゲラさんの頬には一筋の涙。
リヒャルトさんは孫が生まれる前に亡くなっています。
アンゲラさんにとって一度も会ったことなく名前しか知らなかった祖父。
この手紙を見た瞬間、その祖父がホントに生きていたのだという証を実感した感動の涙でした。

1913年、20歳のリヒャルトさんは、まだ想像さえつかない未来の自分の孫に宛ててボトルメールを出したことになります。
バルトの海は101年を費やして、時空を超えた手紙を届けたのです。