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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/21「糸数さんの花心」

沖縄・那覇市内のあるホテル。チェックアウト後の客室に小さな鉢植えが置き去りにされていました。
「せっかく小さな命が咲いているのだから」と、支配人がその鉢植えをホテルの前の空き地に持っていき、そこに植え替えしました。

その様子を見ていたのが、ホテルの前で客待ちをしていたタクシー運転手の糸数さん。
花がひとつだけでは寂しそうだな、と思った糸数さんは、「もっと仲間を作ってあげよう」と花屋で花を買ってきては、その横に次々に植えていきました。
そしてホテルの前で客待ちしている時間を利用して肥料をまぶすなど手入れをしていたのです。

その様子を見ていたのが、タクシー運転手の同僚たち。
愛おしげに花に水やりする糸数さんの姿に引き込まれるように、次々に花を持ち寄っては植えていき、最終的に11人の仲間になりました。

やがてホテルの前の空き地は色とりどりの花が咲く誇る立派な花壇に変身。
ホテルの利用客に好評なので、支配人が花や肥料の購入費用をホテルの経費で出そうと運転手らに申し出ました。
でも糸数さんたちは「自分たちが好きで楽しんでやっていること。それがホテルでも喜んでもらえれば嬉しいですよ」と、断ります。

その後、糸数さんは不幸にも亡くなってしまいますが、タクシー運転手の仲間たちは彼の思いを受け継いで、その後も花を育てていきました。