2006年2月アーカイブ

2/26放送分 「宝物は思い出」

あなたの宝物は何ですか?
ある10代後半の男の子はこのように言っていました。
「僕の宝物は思い出です。」
「物は壊れてしまうことがあるけど、思い出は決して消えません。いい思い出も、決して良くない思い出も、すべて自分の中の引き出しにきちんとしまっています。ただ、楽しい思い出はもっと鮮明に覚えておきたいから写真に撮って残すようには心掛けています。そして、思い出はつくるものでもあるような気がします。ひとり暮らしを始めた今、僕の家族はいい思い出をいっぱいプレゼントしてくれたと感謝しています。僕もこれから自分自身、そしてまわりの人たちとできるだけいい思い出をつくっていこうと思います。」

一方、両親がふたりとも同時に癌になった30代の兄妹がいました。余命2?3ヶ月の母と余命1年の父・・。実家から遠く離れて暮らす兄妹。妹は仕事を辞めご主人と一時離れて暮らし、両親の看病に専念。兄は飛行機を使って週末ごとに実家に帰って、妹のサポートをしながら看病をしていました。兄妹は精一杯看病をし、家族とはたくさんの思い出話をしました。最期は、何も話さずに、ただ一緒にいる穏やかな時間が心地よくさえ感じられたそうです。兄妹は父と母を看送った後、悲しみより達成感、充実感さえ感じたそうです。そして、家族との思い出の記念にと、庭に「桜の木」を植えたそうです。小さな苗木でしたが、1年、2年経つと、かわいらしい蕾をつけました。ところが主のいない庭の桜の木・・。誰かが持って行ったのか、ある日、突然なくなっていたそうです・・・。でも二人は大騒ぎすることなく、笑みを浮かべながら「なくなっちゃったね・・。」と言ったそうです。ふたりの心にはしっかり思い出の桜が植えられ育っていっていたからでしょう・・・。

物に溢れ、物に執着する人も多い中、目に見えないものを大切にする人の、ほっとする話でした。

2/19放送分 「山登り」

「九州の山は殆ど登りました。私は山登りが大好きです。山にはそれぞれ個性があると思います」と言ったのは、依然、不登校だった男の子・・・。
人間関係に悩み、学校に行くのが嫌で家に閉じこもりがちだった彼・・・。自分の性格も嫌になっていました。
その彼が山に興味を持つきっかけをつくったのは、彼の父親でした。
「一緒に山を登ろう・・・・」
それまで、頭でばかりいろんなことを考えていた彼は、体を動かし、一歩一歩ただひたすら山を登るうちに、その山の頂上を目指すことが目的になりました。そして頂上に着いた時、達成感、爽快感を味わったそうです。さらに、そこから眺める景色を見ているうちに、だんだん自分の悩みがちっぽけに感じてきたそうです。
以来、他の山にも登ってみたくなり、いろんな山を登るうちに、その山の個性を体と心で感じるようになったとか・・・。
「いろんな山があり、いろんな個性がある・・・。人間だっていろんな人がいて、いろんな個性があるんだ・・・・。他人の個性も、そして自分自身の個性をも認めてあげよう・・。この山が好きと言うように、僕のことを好きになってくれる他人(ひと)もきっといるはず・・。」
普段、明るく元気で人当たりのいい彼の口から、そんな話を聞いたのは意外でした。

またある女性は、息子の子育てに行き詰まった時、知人に誘われて山登りを始めたそうです。彼女は言っていました。
「頂上を目指すだけでなく、それまで自分が登ってきた跡を眺めるのが楽しみになってきたの・・・。」それは、「人生」という山登りで、時々過去も振り返り、眺めてみるのも必要・・・と言っているようでもありました。

前へ進みながら、後ろも気にかける・・・。そして「今」という場所を確かめ、一歩一歩踏み込んでいく・・・。「山登りはきつい」というイメージが
「山登り=人生は楽しめる」という響きに変わりました・・・・。

ある有名な作詞家のマネージャー・・・。
美人でオシャレで仕事もできる女性マネージャー・・・。
仕事は「バリバリできる」というより「しなやかにきちんとこなす」といった感じです。
ある時、彼女に尋ねました。「大切にしていることは何ですか?」・・・・。その答えは「毎晩マニキュアをぬりかえること」でした。
その意味は「今日一日の自分にお疲れ様と言いながらマニキュアをきれいにおとし、明日の新しい自分を迎える準備」だとか・・・。

マニキュアがかわくまでは、少し時間がかかります。その短い時間でさえ待ちきれずに、せっかちな私なんかは、何かを始めてしまい、せっかくぬったマニキュアが台無しになってしまうことが度々あります。
マニキュアがかわく時間は自分と向き合う時間・・・。
そして「待つ」という大切なことをしている時間・・・。
この時間が「しなやかにきちんと仕事をこなす」ことへ、繋がっているのだと思いました。

自分の体の、末端部の「爪」をきれいにしてあげることは、自分によく気を配ってあげること。自分を大切にしてあげることでもあります。
「自分を大切にできる人は他人も大切にできる」と聞いたことがあります。
自分を大切にすること・・・・。それは決して「我儘」とは違います。

「大切」という言葉を辞書で引いてみると、「使いすぎたり、粗末に扱ったりしないように気をつける様子」「それが一番必要で重んずべき様子」と書いてあります。マニキュアをきれいにぬる。マニキュアがかわくまで「待つ」・・・・。それが自分を大切にする、わずかだけど大切な時間・・・。スピード社会からスローな社会が見直されている昨今・・・・、大事なことかもしれません・・・・。

マフラーやセーター・・・。冬には欠かせませんね。
クリスマスにプレゼントした人、そして、もうすぐやってくるバレンタインデーにプレゼントする人も多いことでしょう。
あなたは購入派?それとも手作り派?女性なら1度は手づくりした経験が、あると思います。男性に言わせると、少し前までは「手作りは、気持ちが重たすぎる・・・」という声が多かったようですが、最近は意外にも「嬉しい・・。だって世界でひとつだけだし・・・。」という意見も聞かれます。

このところ手作りの品物を作る人が増えているような気がします。ある独身の女性は友人の子供に、手編みの帽子を作ってクリスマスにプレゼントしました。その子供は「世界でひとつだけの帽子!」と大喜びし、家の中でもずっとその帽子をかぶっていました。その子のお母さんは編物が苦手で、彼女も大変感謝していたそうです。

裁縫が得意な女性は、病院に通う母親のために、保険証や財布、薬手帳などが取り出しやすいように、手づくりのバッグを作ってあげました。すると、病院仲間が気に入ったそうで、その方にも作って差し上げたそうです。

洋服の胸元やマフラー、バッグにつけてオシャレを楽しむコサージュ。そのコサージュを自分のために作っている女性がいます。自分でデザインを考えて材料を選び、形になっていくのが楽しいそうです。そして何よりも、つくっている「時間」を大事にしているとか・・・。その「時間」は何も考えずに「無」になっているから・・・。そのコサージュが好評で製作を依頼されたそうです。今度はその人が喜ぶ顔を浮かべながら作ることになりそうです・・・。

「世界でひとつだけのもの・・」作る喜びにあなたも挑戦してみませんか?

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