今回は番組初めての短歌作家の方にお越しいただきました。
三上りょうさん。
日々、短歌を詠んで暮らしていきたい。という事を趣味ではなく
仕事に変えていくために、、福岡発の短歌ブランド「蝶のあしあと」を
立ち上げて運営をスタート。
嬢舌短歌リズムをコンセプトにした自主制作の本や手作りの紙雑貨を発表。
朗読ライブや短歌を詠む会など短歌にまつわるイベントの企画や
運営もおこなっています。
蝶のあしあと→http://chounoashiato.com/
今回は短歌の基礎知識、と言う事で・・・短歌って何ですか?
短歌と言うのは、短い詩のようなものなのですが、形式としては・・・
「五・七・五・七・七」の三十一文字(みそひともじ)の形式で出来ている
文芸作品です。
似たようなもので、俳句、川柳がありますが・・・
俳句と川柳は似ている所があって、共に「五・七・五」の言葉の音の
数で作ります。俳句の場合は基本的には「季語」と呼ばれる
季節の言葉を入れて詠みますが、川柳は季語を入れなくて、もっと
自由度の高い物です。
じゃあ、短歌にルールってあるんですか?
短歌に「季語」は入れても、入れなくてもいいんです。
三十一文字と先ほど言いましたが、それよりも字が余ったり、
字が足らなかったり、いわゆる「字余り」「字足らず」があっても
オッケーなのが短歌です。
今回は三上りょうさんが好きな短歌を3首ご紹介します。
ちなみに、短歌の数え方は一首(いっしゅ)、二首(にしゅ)です。
上の句
花の色は うつりにけりな いたづらに
下の句
わが身世にふる ながめせしまに
小野小町の一首です。
現代語にすると・・・
桜の花の色がすっかり色あせてしまったと同じように、私の容姿も
すっかり衰えてしまったなあ。桜に降る長雨を眺め、むなしく恋の思いに
ふけっている間に。
三上りょうさんのポイント
ストレートに気持ちを詠むのではなく、花に自分自身を例えたり
掛詞(かけことば)と言って、一つの言葉に、2つ以上の意味を込める、
と言う技法を使っています。
「ながめ」は、長雨と眺めるを掛けています。
耳にした時にとても引き込まれます。
続いて・・・現代短歌です
嫁さんに なれよだなんて 缶酎ハイ
2本で言って しまっていいの?俵まちさんの短歌です。
三上りょうさんのポイント
この短歌、聞いてるだけで心が弾みませんか?
本当にあったのか?創作なのか分かりませんが、日常の出来事を上手く
三十一文字に捉えている辺りが、素敵だなって思います。
最後の一首
飲み会の 夜無くなった 携帯が
出てこなければ 好きだと言おう
佐藤真由美さんの短歌。
三上りょうさんのポイント
先ほどの歌と「お酒繋がり」で。ただ同じ現代短歌なのに
雰囲気がちょっと違いますよね。
三上さん的に・・・ちょっと優位に立ちたい女性の歌なのかな?と。
まだ立場が定まってなくて、こうなったら自分がもうちょっと上に立てる、
そう思ってしまいます。
今回最後に、三上りょうさんの歌を詠んで頂きました。
角砂糖 眺めたままで ありのまま
時に満たされてゆく 金曜日
待ち合わせをして、相手がしばらく来なかった時に詠んだ一首。
歌の中には「掛詞」が使われています。
ありのまま
「そのまま」と言う意味の「ありのまま」
砂糖を欲しがる「蟻」、二つを掛けていますね。
眺めたまま、と言うのは砂糖を手にできない訳です。
自分のことを、蟻のようなちっぽけな存在に思えても、小さな幸せを
見つけていくことで、この短歌の場合だと「あなたを待つこと」が
幸せなんですけど。それで満たされていく、って感じの短歌です。
さて、次回は、今村敦子、初短歌!です。