テーマ「芸術の秋を楽しもう」 - 教えて!コンシェルジュ! | FM FUKUOKA
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             テーマ「芸術の秋を楽しもう」

コンシェルジュ 福岡アジア美術館 学芸課 山本裕子さん

福岡アジア美術館で11月30日まで開催されている「福岡アジア美術トリエンナーレ」。
今回は、芸術の秋を楽しむというテーマで、お送りしました。

福岡アジア美術館は、1999年にオープン、今年で15周年を迎えました。
福岡アジア美術館についてはこちらを⇒http://faam.city.fukuoka.lg.jp/about/abt_index.html

アジア美術館.jpg
アジアの近現代、そして新しい美術作品を扱っている美術館。日本で言うところの
明治時代以降の作品を専門に扱っています。(山木さん談)

元々は仏像の研究をされていて、沢山の学芸員さんと触れる機会があり、その中で
面白そうな仕事だな、と魅力に取りつかれ、学芸員を志したという山木さん。
福岡アジア美術館創設時から働いていらっしゃる方のお一人です。

今村「福岡アジア美術館、特に他の美術館と違って、ここに
  こだわっている、と言う点はありますか?」
山木さん「展示するアジア作品のアジアの範囲を決めていまして、
  北はモンゴル、西はパキスタン。そして、南はインドネシアという事で、
  21か国、地域を対象としているんですね。アジアという事で、もちろん日本の作品も
  あります。しかし、福岡には福岡市美術館がございますので、日本の作品展は
  そちらですることが多いですね。」

今村「アジア美術の特徴と言いますか、良さってどんな所にあると
  思われますか??」
山木さん「アジアと一言で言いましても、21か国、地域、それぞれ
  歴史とか宗教、文化全て違ってますので、その国ごとに、色んな表現と言うか
  美術作品が たくさんあるんですね。で、なかなかそれを皆さん知らないので、
  私たちが調べて、これはもっと知ってもらいたい、と言うものを展覧会として企画して
  皆さんにご紹介する、という事をやっています。」

  「で、大きく言いますと、アジア美術全体の傾向として、映像を使った作品が、
  メインになってきた、と感じます。」

今村「え?それはどういった映像になるんですか?」
山木さん「映画みたいなものだとか、そういったストーリが
  あるものではなくって、短い中に、映像としてあるものです。
  本当に、映像と言っても、一言でいえない、色んな表現の映像があるんですね。」

今村「でも、映像だけの展覧会ってどう表現していくんですか?」
山木さん「現代美術の展覧会は、映像が本当に多くって、
  福岡アジアトリエンナーレでも 半分くらいは映像の作品となっています。
  展示の仕方としては、モニターで見せる場合もありますし、プロジェクターで
  上映するていうのもあるんですけど、4面で構成する作品もあります。」

とりえんな_450.jpg
イメージ 部屋の壁4面を使って作品を表現する
山木さん「4方向すべてに映像が映し出されていて、部屋の真ん中で
  映像を見る、と言う楽しみ方です。体感する、といった感覚ですよね。」

今村「若い方々が、物を作るではなくって、you tubeなどで
  作品を公開する、といった感じになってきているんですかね?」
山木さん「たぶん、コンピューターが普及して、ビデオカメラも
  小型で精巧な物が出て来てますので、自分で撮影して、それをコンピューターで
  編集するという作業が、わりと簡単に出来るようになったのではないか?と
  思うんですね。なので、非常に小さい国、例えばブータンとか、ミャンマーとか
  割と現代美術が盛んではない国でも、映像の作家が出てきているんです。」

今村「へぇ、ネットとかって、中国とか韓国とかが特化していると
  思っていましたけど、そうではないんですね。」
山木さん「そうですね。どこの国でも見られますよね。」
今村「まあ、映している内容は違えど、ってことなんですね。」

福岡アジア美術館開館から学芸員として働かれている山木さん。
アジア各地から、直接アーティストに来ていただく機会も多く、様々なアーティストに
会われてきました。
山木さん「アジア美術館では、作品を収集展示するだけではなくて、
  アジアからアーティストや研究者を呼んで、数か月間滞在してもらって、
  それぞれ制作や研究などの活動をして頂く プログラムも行っています。私は今その
  福岡に呼んだアーティストの お世話をするセクションにいます。
  そこでは、実際に来たアーティストが これを作りたい!と言う物を実際に製作する
  お手伝いといいますか、アレンジなどをやっています。」
今村「今まででどのくらいのアーティストの方に会われましたか?」
山木さん「だいたい今は、年間アーティスト4人と研究者お二人を
  だいたい招聘しているので、1年で大体6人、15年とすると、美術館としてはかなりの
  人数を呼んでいますが、私自身は、このセクションに来て3年くらいなので、そんなに
  多くは、ないんですよね。」

今村「今までで一番印象に残っている方は・・・」
山木さん「映像作品だったんですけど、蛙を使いたいと。しかも、
  解剖直後の蛙を使いたい。どうしたものか??という事で、ある大学に行って、
  解剖し終わった蛙を使わせてほしいとお願いしました。そして、その大学に行って、
  解剖する部屋の隣に部屋を借りて、解剖された蛙をすぐに持ってきてもらい、
  その蛙に電流を流す、と言う依頼でした。」

  その他にも・・・
  歯ブラシを沢山集めてほしい!と言う依頼。しかも新品ではなく、使った歯ブラシ、
  という事で、ホテルなど様々な所にお願いして頼んだ。

  福岡の土を使って土器を作りたい、など。とにかく突拍子もない依頼を
  数々受けてこられたそうです。
  その依頼を受けた時は、何が出来上がるんだろう?と思ったそうですが、完成した
  作品を見ると「なるほど!」と思うんだそうです。

  そんな現代アジア美術のお祭り、福岡アジアトリエンナーレについて、
  次回はお伺いします。

  オンエア曲
  イッツ・トゥー・レイト/エイミー・グラント
  セパレイトウェイズ/ フェイ・ウォン

  


パーソナリティ


今村敦子

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