テーマ「天気と大気と人間」
ここ最近の気になる話題の一つとして、PM2.5などの大気汚染の話を、
テレビや新聞でよく目にします。今日は空に霞がかかっている・・・今日は一杯飛んで
いるのだろうか?など、大気がいつも以上に気になる感じですよね。
PM2.5、黄砂など、私たちの身近なところで気になる大気と、その大気による
人間への体への影響などを、今回、天気、大気のことなら
この人に聞け!今回のコンシェルジュは、日本気象協会 手嶋準一さんです!
「はい!お伝えします!」のお馴染みのフレーズでご登場いただいた
手嶋さん。この番組3回目の登場です。ジャジャン!
福岡のお天気のことなら この人に聞け!お天気のみならず、そのお天気にまつわるいろいろな事を教えてくれます!
基本的な質問から。なぜ中国から様々なものが飛んできているの?
それは地球が自転しているから。
地球が自転していることによって、日本や中国がある中緯度地帯では、上空を
西から東へ風が吹くようになっています。偏西風というものです。
(これが緯度が下がって、赤道付近になると、逆になり東から西に風が
吹いている偏東風といいます。)
なので、日本は、西から東へと天気が変るように、風も西から東に吹いている、
中国のほうから、用は西から色んなものが飛んできています。
PM2.5だけでなく、小さな昆虫(稲の害虫)やインフルエンザも偏西風に乗って
飛んできているのではないか?と言われています。
それでは、PM2.5とは?
PMは、Particulate Matter(パティキュレイト・マター=粒子状の物質)と言う意味で、
とにかく小さいです。5000分の1ミリくらいの大きさで、当然目でも見えませんし
顕微鏡でも見えません。電子顕微鏡で見える、と言うくらい小さいのです。
ただ、唯一目に見える時があります。それは、空に漂っている時に、
太陽の光が乱反射(散乱)して、白く濁る時だけ見えるんです。
よく、空が白く霞んでいる・・・なんて時ありますよね?
ただ、それが全てPM2.5だとはいえません。空中には、様々な物が飛んでいます。
例えば、水滴。空気中に細かい水滴があると、これに太陽の光が乱反射して
同じように見えるときがあります。また、黄砂のような塵、埃とかが沢山浮いても
白く濁ります。その中に、PM2.5が含まれている場合があります。
なので、空が白く霞んでいるからと言って、必ずしもPM2.5が飛んでいるとは
言えないそうです。
では、PM2.5と言う物質は、体に害のあるものなのでしょうか?
この事についてはまだ詳しく分かっていません。なぜなら、PM2.5と言う物質は
今新しく生まれた物質ではないのです。この物質に注目され出したのは
つい最近です。
ようやくPM2.5に関する環境基準が生まれました。その時の根拠は、
非常に小さい粒子なので、もし人間が吸い込んだ場合、肺の奥に入り込んで
なんらかの健康障害を引き起こす恐れがありますよ、と言う事です。
実は、PM2.5よりもさらに1桁小さい物があるんです。何でしょうか?
それはタバコの煙です。タバコの煙は、PM2.5よりは1桁小さい粒子を
持っています。タバコの箱には、健康を害する恐れがあります。と書かれています。
PM2.5もこれと同じです。
また、PM2.5は全てが中国から来ていると思っていらっしゃる方、多いと思いますが
日本でも沢山出ています。PM2.5は、物を燃やした場合に出来る物質です。
単純に言うと煤です。しかも非常に細かい煤です。
あるいは金属を磨いた時に出る細かい金属の物質の場合もあります。
そういったものの混合物がPM2.5と言うわけです。
タバコ以外にも、身近にもっとたくさんのPM2.5が出ているところが、
家の中にあります。それは台所です。
台所の換気扇にPM2.5の吸収装置をつけたところ、調理中の数値は
1,100マイクログラムでした。
(環境基準が1立方メートル当たり、35マイクログラム。注意報を出す基準は
倍の70マイクログラムです。)
あまりPM2.5を気にしすぎると、日常生活が出来なくなります。
といったくらい、PM2.5は身近に発生している物質だといいます。
続いては、空が霞むもう一つの原因「黄砂」のお話しです。
春の風物詩「黄砂」。黄砂を現す表現として、「大陸の雪解けを告げる」という言葉を
付けるそうです。黄砂は、季節が過ぎると飛ばなくなります。
丁度大陸で雪解けして、「暖かさ」が増す頃は、一気に地面が乾燥します。
そういう時に、砂嵐が起きるといっせい埃が舞い上がります。それが上空の偏西風に
のって、日本に飛来してきます。これが黄砂です。
では、黄砂は体に悪いのでしょうか・・・?
これもよくは分かっていないそうです。
実は、黄砂は、良い物があるといわれています。黄砂の物質はミネラル(鉱物)を
含んでいるので、海に落ちる黄砂というのは、海水中のミネラルを補給して、
海草を育てているのではないか?と言われています。
陸地に近い海は川から栄養分が流れてきますが、陸地から離れた大洋といわれる
所は栄養的には貧弱な海なのですが、そこにミネラルを補給するのは
黄砂しかない、と言われています。
それから、黄砂に大気汚染物質がくっついて飛んできているのは確かです。
ただ、黄砂が、その汚染物質を弱めてくれるというデータもあるそうです。
黄砂は炭酸カルシウムという、土壌中に豊富にある化学成分を含んでいます。
これは、空を飛んでいる時はアルカリ性になります。
一方、大気汚染物質は酸性物質なんです。なので、黄砂に吸着する時に
酸性とアルカリ性で中和してくれる。あるデータによると、黄砂があると
大体汚染物質は3割くらい減っているのではないか?と言われています。
大気汚染物質と一緒に黄砂も飛んでくるので悪者にされていますが、逆に
その物質を減らしてくれている立場にあるのではないか?と
言われています。
黄砂は、今に始まったことではなく、遥か何千年も前からあったもの。
見方を変えると、ちょっとロマンチックな感じですよね?
来週も手嶋さんに天気と人の関係についてお伺いしていきます。
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エヴァー・アフター/ジュリア・フォーダム
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