2013年2月アーカイブ

2/24「犬達と叶えた夢」

「夢は願うものではなく叶えるもの」
そんな言葉を見事に実現させた女性がいます。本多有香(ほんだ・ゆか)さん。
大学時代にカナダを旅行した際、犬ぞりに出会い、懸命にそりを引く犬達の姿に、子供の頃から愛犬家だった有香さんは深く感動。
犬ぞりをしたいという夢が生まれた瞬間でした。

大学卒業後、就職して資金を貯めると、有香さんは26歳で単身カナダに渡り、マッシャ―と呼ばれる「犬ぞり使い」のカナダチャンピオンのもとで働き始めます。
「お給料はいらない、何でもするから雇って」と履歴書を送り、マッシャ―をサポートするハンドラ―として採用されたのです。
200匹余りの犬の世話や厳しいトレーニングに明け暮れる日々。
その後さらに、新たな師匠のもとで修行を重ねた有香さんは、アラスカとカナダの大自然1600?を走破する世界一過酷といわれた犬ぞりのレース、ユーコンクエストに3度に渡って挑戦しますが、完走できません。

しかし、あきらめずに昨年2月4度目の挑戦で、ついに12日間に渡る壮絶なレースを完走し、日本人女性初という快挙を成し遂げたのです。
そのゴールは、観客の多さに尻込みする犬達を自ら先頭に立って引っ張り、会場の笑いを誘うという微笑ましいものでした。

カナダの永住権を取得して、宝物だという「世界一のうちのわんこ」21匹と訓練を重ねる有香さん。
「今の生活はワクワクするし、幸せです」。
そう語る彼女は、次なる夢に向かって走っています。

2/17「アインシュタインとチャップリン」

20世紀を代表する物理学者といえば、だれもがアインシュタインの名を思い浮かべることでしょう。
そして彼が確立した相対性理論もまた世界中に知られています。
ところが、「相対性理論」という言葉は有名でも、この理論をだれもが理解しているわけではなく、また、だれもが分かるように説明するのも容易ではありません。

ちなみにアインシュタイン自身は、この相対性理論のことを物理学者以外の人たちに説明するときには、「美人といっしょにいると1時間いてもわずか1分間のような気がするが、熱いストーブのそばでは、1分間が1時間にも思える。それが相対性理論なのです」と、ごく簡単に言っていました。

そのアインシュタインが、あるとき20世紀を代表する喜劇王・チャップリンに会いました。
チャップリンが映画『街の灯』を作ったとき、そのプレミア上映にアインシュタインを招待したのです。
二人は隣に座って映画を鑑賞。アインシュタインは感動で涙を流し、チャップリンにこう言いました。
「あなたの芸術はじつにすばらしい。なにしろ、まったく言葉を使わずに、世界中の人にあなたは理解されているのですから」

すると、チャップリンはアインシュタインにこう言い返したのです。
「いやいや、博士こそもっとすばらしい。なにしろ世界中のほとんどの人があなたの相対性理論を理解できないのに、あなたは世界一の有名人なのですから」

2/10「TOKYO GIRLSからのチョコ」

屏東(ピントン)は台湾の地方都市。その屏東駅に3年前の2月14日、日本から速達でチョコレートが1箱送られてきました。
差出人の名前は「TOKYO GIRLS」。しかし宛名は書かれてなく、添えられたカードには、「感謝」の二文字と人の顔の手描きイラストが書かれているだけです。
だれ宛に送られてきたのか、このイラストの顔は何なのか?

屏東駅には30人ほどの駅員が働いています。
駅長はその一人ひとりに心当たりがないか尋ねてみようかと思いましたが、白髪の頭と太い眉毛の男性の顔のイラストをじっと眺めているうちに、ふと似た顔立ちの一人の駅員のことがひらめいたのです。
それは改札係の主任・王(ワン)さん。その王さんに、チョコレートの話をすると、2週間ほど前に出会った日本人女性2人の旅行者のことを語りはじめました。

王さんの話によると、その女性たちは中国語を話せず、切符の買い方も分からずに途方に暮れていた様子だったので、王さんが「TOKYO GIRLS!」と呼びかけて英語でコミュニケーションをとりながら切符を買ってあげ、発車が迫る列車に乗せてあげたとのこと。屏東駅に送られたチョコレートは、その日本人女性旅行者が王さんから受けた親切へのお礼の気持ちだったのです。

TOKYO GIRLSからのバレンタイン・チョコを受け取った王さん。「駅員として当たり前の仕事をしただけ。それが国を越えたやりとりになるとは思わなかった」と驚き、喜びをかみしめていました。

2/3「海が4年かけて届けた手紙」

東京から1900キロ離れた太平洋上の南鳥島。ここには海上自衛隊や気象庁の職員20人ほどが常駐しています。

平成22年、自衛隊員の西田さんが海岸のゴミ拾いをしていたときに、波に打ち上げられた瓶を見つけました。
その瓶の中に入っていたのは、チューリップや太陽の絵が描かれた手紙。西田さんが辞書を片手に文字を読み解いたところ、ドイツのコトプスという町からのものだということがわかりました。
そこで西田さんは、「手紙を見つけました。あなたの国から届いた奇跡に感謝します」という返事を書いたのです。
絵の内容から、子どもだろうと想像し、折り紙や万華鏡など日本のおもちゃも同封し、ドイツに送りました。

この西田さんの手紙を受け取ったコトプスの町の人たちは大騒ぎ。じつはこの町では4年前、町の誕生850年の記念イベントとして、850人の市民が手紙などを入れた瓶を850本、世界中の海に向けて流したのです。
その中で返事があったのは、ほどなくスペインに流れ着いた1本だけ。
4年経ってすっかり忘れていたころに届いた2本目の返事に町中が驚いたのです。
この瓶に手紙を入れたのは、当時6歳だった少女。4年前の自分の手紙に日本から返事が届いたことに感激し、見たことも聞いたこともない「MINAMITORISHIMA」を一生懸命に地図で調べ、「遠い島だけど、いつか行ってみたい。そしてNISHIDAさんと話をしたい」と語っています。

インターネットで一瞬のうちに世界中にメッセージが届く現代。4年かけて海が届けた瓶には、海が育んだロマンがたっぷり詰まっているようです。

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