2006年6月アーカイブ

6/25放送分 「左腕のパドリング」

梅雨から夏にかけて気になるのは、雨。九州では毎年のように大雨による被害が発生しています。いまから16年前の平成2年7月1日もそうでした。

有明海沿岸に集中豪雨が発生して一帯の河川が決壊。流域の市町村に水が襲いかかりました。牛津川沿いのある地区では軒下まで浸水。3世帯8人の家族が逃げ遅れてしまいました。そのうちの1軒には、視力障害のご主人と半身不随の奥さん。迫り来る水に追われ、着の身着のままの体を濁流に漂わせながら、かろうじて杉の木にしがみついていました。

近所の人たちがただただ心配して見守る中、一人の男性が意を決して救助に向かいました。趣味でやっているカヌー。それを3艘横に並べてロープで固定した急ごしらえの救助艇です。彼は慎重にカヌーを操り、杉の木につかまっている夫婦のそばに漕ぎ寄せました。「あなたが来てくれるとは思ってもみなかった」・・・・・。殆んど力尽きているご主人が絞り出すような声で感謝しました。岸に戻ると、近所の人たちが一斉に駆け寄り、毛布を掛けて介抱。それを見届けると、彼は再び濁流へ。

こうやって3世帯全員を救出した彼の行ないは新聞で報道されました。その中で読者を驚かせたのは、このヒーローが、ポリオのために右手の自由が利かない体だったこと。彼は左腕だけでパドリングするカヌーイストだったのです。
「カヌーに乗れば、健常者も身体障害者も関係なく、川はだれをも自由にしてくれる」と語る彼にとって、牛津川は一番仲の良い遊び相手です。
「だからこそ、私が川と遊んできたカヌーが人命救助に役立ったことがホントに嬉しい」・・・・・。

あれから16年。彼はいまも、体にさまざまなハンディをもつ人たちにカヌーを手ほどきしながら、大好きな川に漕ぎ出しています。

6/18放送分 「ペーパームーン」

その男は詐欺師。あるとき、知り合いの女性の葬儀に参列したことから、孤児になった彼女の9歳の一人娘を、叔母さんの家まで送り届けることになりました。でも実際は、少女をだしに使って、交通事故で母親を死なせた加害者からお金を脅し取ることが目的。それでちゃっかり自分のクルマを買ってしまいます。まんまとクルマをせしめると、「さあ、もう小娘に用はない」とばかりに、少女を一人汽車に乗せて叔母さんの家に送り付けようとします。ところが少女は「私のお金を返して。それまであんたから離れないからね」と迫ります。
そこで始まった二人の旅。男はなんとか少女を捨てようとしますが、彼女のほうは行く先々で男より詐欺の才能を発揮。男に詐欺を働かせ、年が離れた二人は「偽の父と娘」に成りすましました。そして詐欺の名コンビとして旅を続けたのです。やがて、そんな二人の間に、何ともいえない温かい気持ちが芽生えてきます。ニセ親子の旅は、少女の叔母さんの家にたどり着いたところで終わりを迎えますが、そこで当の二人も予想をしなかった感動的なラストシーンが待っていました・・・・。

この話は、1973年製作の映画『ペーパームーン』。
この映画で少女を演じたのはテイタム・オニール。そして彼女のニセの父親を演じたのが、ライアン・オニール。つまりテイタム・オニールは、実の父親を相手に、ニセの娘という役を演じたのです。

紙で作った月でも時として本物以上に輝くように、実の親子以上に温かいニセ親子を描いた映画『ペーパームーン』・・・・。
そのあどけなさで素晴らしい表現をした10歳のテイタム・オニールにオスカー賞が贈られましたが、それは実の父親を相手に演じたからこそ成し得たのかもしれません。
彼女がそのオスカー像を真っ先に手渡した相手は、もちろん父・ライアン・オニールでした。

お父さんに感謝・・・・・。 きょうは「父の日」です。

6/11放送分 「もったいない・・傘」

日本全国の落し物は、警視庁の調べによると、1070万点。そのうち傘の落し物は、1年間に33万本。落し物、忘れ物のナンバー1の傘・・・。
日本で消費される傘の量は、1年間で1億3000万本。日本人ひとりあたり、年間1本は消費していることになります。
最近では、100円ショップでも販売しているので、壊れても修理せずに購入したり、雨が降り出したりすると、気軽に買う人も少なくないようです。

今日、6月11日は、暦の上では、「入梅(にゅうばい)」梅雨入りの日です。
梅雨入りにあわせて、日本洋傘振興協議会は、1989年、6月11日を「傘の日」に制定しました。傘を広げると、その形は「末広がり」。昔から縁起物としてお祝いの贈り物にもされています。洋傘専門店には傘をオーダーメイドできるところもあります。結婚や入学、就職などのお祝いに傘の骨組みや中棒、手元の素材や生地などを選んだ「世界にひとつだけの傘」をプレゼントするのも素敵ですね。

福岡県柳川市の京町商店街の傘と帽子のお店「和多屋」。
ここでは、傘を買ってくれた人に、無料で傘に名前の刺繍をしてあげています。傘を大切にして欲しいという想いから25年前から、店主の恒吉清隆(つねよしきよたか)さん(54歳)がはじめました。
ひらがな、漢字、ローマ字などで刺繍した傘。自分の名前が入った傘だからこそ、忘れてもわざわざ取りに行った、どこかに置き忘れたけど戻ってきたというケースも少なくないようです。最近では、傘を大切にしたいという思いのお客様も次第に増え、他の県からもリピーターがいらっしゃるようです。

梅雨のこの時期、傘を大切にする心、ものを大切にする心、改めて見直したいですね。

6/4放送分 「プロポーズ」

ジューンブライド。6月の花嫁は幸せになれるとヨーロッパでは言い伝えられています。6月はギリシャ神話の「結婚の女神・ジュノー」の守り月だからです。そこで、全日本ブライダル協会が1994年に6月第1週の日曜日をプロポーズの日に制定しました。結婚されている方、どんなプロポーズでしたか?独身の方、どんなプロポーズを夢みていますか?

インターネットの「キャベツ畑ウェディングnet」に素敵なプロポーズが載せられていました。
ある友人の結婚式。その「新婦のブーケトス」の時のこと。新婦のブーケを受け取った人が次に結婚できるといわれていますね。司会者の「女性は前に集まってください。」の合図の時、ある男性が「ちょっと、待ったぁ!」・・・・そして花嫁に「お願いします。どうしても、そのブーケを渡したい人がいます。僕の彼女に渡してもらえませんか?」と言いました。周りの友人と司会者に押されるようにその彼女が彼の前に出ると、彼の手には、指輪がありました。そしてこう言ったそうです。「幸せそうな二人を見て、二人のように幸せになりたい。俺と結婚してください。」・・・・あまりにも突然のことで、彼女はびっくり!沈黙の後、指輪を受け取りました。すると、参加者のみんなから大きな拍手と「おめでとう!」の歓声!
彼の勇気と演出に私も拍手を送りたくなりました。

最近は女性から、プロポーズするケースも少なくないようです。
遠距離恋愛中の彼女が家で肉ジャガを作っている時に彼からの電話。「今、肉ジャガを作っていて、それがとてもおいしいの。嫁にしたくない?」彼は「肉ジャガがおいしくてもまずくても、嫁にする気でいるから」と言ったそうです。
メール文化の現代。でもやっぱり、プロポーズは生の声や態度でして欲しいですね。

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