2019年5月25日の平原綾香さんをプレイバック。
2017年の4月から2019年の6月までの2年と2カ月、新旧話題のアーティストをお招きして、その音世界についてアーティスト自らじっくり紐解いていただいた『SOUND PUREDIO presents 音解』。
そんな「音解」がひさびさに復活。
過去に登場した全117回、合計82組のアーティストの中から、今こそ改めて振り返りたいお宝音声をプレイバック。パーソナリティも再び集まり、当時の思い出とともに振り返ります。
今週は2019年5月25日にお迎えした平原綾香さんを振り返ります。
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5月25日のゲストは 平原綾香さんでした。 - SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)
皆さんご存じのとおり、2003年12月17日にホルストの組曲『惑星』の『木星』に日本語詞をつけた『Jupiter』でデビュー。以降、様々なフィールドで活躍している平原綾香さん。
「今回はミュージカルアクターとポップスシンガー、2つの顔を披露してくれました。特にミュージカルについては音解ではあまり扱ってこなかった分野なので、興味深いお話が聞けたと思います」
知ってるようで知らなかった平原綾香さんのご家族の話や、ミュージカルとポップスの違いなどいろいろ面白いお話満載です。どうぞお楽しみに。
今回のお相手は当時のパーソナリティちんと香月千鶴さんです。
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この日、平原さんが選んでくれたドライビングミュージックは、平原まことの『Spring Wind』。
そう、日本を代表するサックス奏者であるお父様の一曲です。
「父の音楽を小さい頃からずっと聞いていて、特にドライブの時は必ず父のCDを聞いていましたね。途中できれいな夕日を見つけると、車を止めてオーディオの音をちょっと大きくして、家族で眺めているっていう思い出とか」
平原ファミリーは、父親の平原まことさんは現役マルチリード奏者。祖父に当たる平原勉はトランペット奏者。姉のAIKAさんは現在、シンガーソングライター/サクソフォンプレイヤーとして活躍。物心ついてから音楽に囲まれた生活だったようです。
「父はスタジオミュージシャンもやっていて、童謡とかポップスとかいろんな仕事があるので、音楽にジャンルというものが存在するって知らなかったんです」
このインタビューを振り返っているスタジオでも「音楽に囲まれすぎて、ジャンルの存在を知らなかったってすごい」と、びっくり。
結果、クラシック、ジャズ、ポップスの壁を軽々と越境した、今の平原綾香さんの音楽へとつながる原点になっているのでしょう。さらに代表曲「Jupiter」が生まれるきっかけもジャンルレス。
「私、デビューした時には、サックスを吹いたりとかする歌手になるのかなと思っていて。でも大学はジャズ科に進んでサックスを吹いていたのですけど、クラシックを聞く授業もとっていて、そこで偶然先生が聞かせてくれたのがホルストの『惑星』だったんです。これに歌詞をつけて歌いたいってスタッフにお願いして、今があるんですけれども」
軽やかにジャンルを超えて活躍する平原綾香さんですが、近年は多様な活動の中で、ミュージカル方面での活躍が目立ちます。
昨年、インタビューの時点では、ちょうどディズニーのミュージカル映画『メリー・ポピンズ リターンズ』でメリー・ポピンズの吹き替え声優と歌、そしてエンドソング「幸せのありか」も担当したことが話題になっていました。
ディズニー作品として非常にまれな例ですが、平原さんはそれ以前に舞台でもメリーポピンズを演じていて、まさに運命的な出会いといえそうです。
しかし、舞台で自ら演じるメリーポピンズと、映画で演じるエミリー・ブラントさんに声を乗せていくこととはかなり違う作業だったようで、戸惑いや葛藤も多かったと語る平原さん。
実際の映画を拝見すると、エミリー・ブラントさんの声に寄せるというよりは、意識的にトーンを少し変えているようにも聞こえます。
「変えましたね。吹き替えで言うとエミリー・ブラントさんの声って結構低いんです。あんまり日本語で低いとすごい怖い感じでドスがきいてしまうのでちょっと上げたり。そして、イギリス英語を日本語で表現するにはどうしたらいいか、かなり研究しました」
るほど。ちなみにどうやるんですか?
「滑舌良く。そして迷いがない喋り、黒柳徹子さんの迷いがない喋り方で」
ニンマリと笑う平原さん。ちょっとした表現もチャーミングです。
一方、エンドソングの「幸せのありか」では劇中と違って「平原綾香」としての歌唱ですが、ここではあまり違いを意識せず良い歌を歌うことに集中したのだそうです。
「このメロディ自体がとても泣けるので、これは色んな人にきいてもらいたいなあとそれを思って歌っていましたね」
映画の中では、メリーポピンズが子どもたちに子守唄として歌う、とても印象的なシーンに登場します。
「そうそう。子守唄なんですけどビックリしたのが、私、姪っ子がいるんですけど、この間、寝かせつけようとしてもぜんぜん寝ないんですね。絵本読んであげてもだめで。 最後の手段だと思って『幸せのありか』を歌ったんですが2小節目で寝ました! 」
そう言うと、ふふふと笑う平原さん。
そんなやりとりと「幸せのありか」をスタジオで聞いていた香月さんも思わず「私もちょっとウトウトしてきちゃいました」 と一言。子守唄ですからね。
ここまでのお話では、映画を観ているだけではわからない、ミュージカルならではの工夫や苦労をほんの少しだけ理解できたような気がします。
そしてこの日はもう一曲、ポップスシンガー、平原綾香として新曲「Radio Radio」を紹介していただきました。
このインタビューの後、2019年8月にリリースされたアルバム「はじめまして」にも収録された作品。
ラジオ賛歌であり、ラジオを愛するすべての人への高揚感あふれる応援歌です。
「ラジオに関する歌って、だいたいラジオに対して話しかける歌が多いじゃないですか。『壊れかけのレディオ』とか『本当の幸せ教えてよ♪』みたいに。もっと平原綾香流で作れないかなと思った時に、ラジオから人間に語りかける曲を作ろうと思って。実はこのラジオは人間の女の子に恋をしているそういう歌なんですね」
ラジオからリスナーであり、僕から君であり、そして聞いているとラジオのこちら側で制作する人たちへのエールにも聞こえてきます。
「うれしいなあ。ラジオ業界で働く人たちが傷ついてる人たちを応援したいとか、元気付けたいっていう思いを持って働いてる人たちがたくさんいる。それは話し手もそうだし、みんな一人のメッセンジャーだってことも表現したかったんですね」
もうひとつ、この曲では印象的な管(楽器)が入ってますね。
「あー。サックスのポヘーっての。あれは父です(笑)。あのため、あそこだけのために吹きに来てくれました(笑)」
しかも実は、親子共演どころかコーラスには姪っ子さんの声が、そしてお姉さんも、アレンジにはお姉さんの旦那さんが、と平原ファミリーが総出で参加していることがわかってびっくり。
高揚感とともに、暖かくてどこか人懐っこいイメージのあるこの曲の秘密はそんなところにもあるのかもしれませんね。
そんな平原綾香さんの今。
今年2月には、森崎ウィンさんとのデュエットソング『MOSHIMO』をリリースしました。
これはミャンマーのTVドラマ「The House with Dreams」の主題歌として、平原綾香さんが作詞、作曲した楽曲の日本語バージョンです。
森崎ウィンさんが出演しているこのドラマ、ミャンマーは森崎さんの出身地でもあり、このドラマとともに大ヒットしているそうですよ。
さらに、今年9月30日には、去年開催したツアーの模様と、『MOSHIMO』制作のドキュメントを収録した、映像作品のリリースも予定しています。
平原綾香さんの「音解」いかがだったでしょうか。
スタジオでのなんともいえない上品で落ち着いて柔らかな雰囲気、そしてユーモア。
そこから出てくるお話は、そんな「平原綾香ができるまで」そして現在も様々なジャンルで縦横無尽に活躍しているわけまで、整然と淀みなくお話をしてくれて、限られた時間ではありましたけど、なんだかすっかり理解できたような気もしました。
これからの平原綾香さんにもまた、期待して注目していきたいですね。
平原綾香 Official Website (外部リンク)