大分県日出町に、放送局やレコーディングスタジオなどで使われるマイクを設計・製造する会社があります。
ここでは181人の社員のうち122人は身体に障害をもつ人達です。
その一人一人がハンディをものともせずに高度な作業をするシステムが、注目を集めています。
30年前の設立当初は流れ作業の工場でしたが、健常者と身障者の作業効率の違いや、単純作業を繰り返す心理的なストレスで、能率が上がりませんでした。
そこで社内で何度も話し合いを積み重ね、一つの製品の全作業を一人で責任をもってやり遂げる方式に切り替えることにしました。
それを可能にしたのが、一人一人の身体機能に合わせて最適なレイアウトを施した作業台です。
たとえば、左手が不自由な人のために、右手が使いやすい位置に道具や機械を集中させた作業台。
また、横に動く動作が難しい車椅子の人には、一つの作業が終わるとボタンひとつでテーブルの上の作業道具が横に移動し、次の作業に必要なものが自分の目の前に来る仕組みの作業台を、自社で作り上げたのです。
それも一人一人の身体に合わせるので、どれ一つとして同じものはありません。
「誰でも使いやすい設備ではなく、その人だからこそ使いやすい設備。
それが私たちの考え」と語るのは、自身も車椅子に乗る社長です。
「私たちの立場のような人には、働く場所を選ぶという自由がまだまだ与えられていないのが現実。
私も、生まれ育った故郷や友人から遠く離れ、大分まで来なければならなかった。こういう想いを他人にはさせたくありません」
この工場のように、障害者が障害をリスクと思わないで働ける会社が全国に広がることを願います・・・。