2018年2月24日の寺岡呼人さんをプレイバック。
2017年の4月から2019年の6月までの2年と2カ月、新旧話題のアーティストをお招きして、その音世界についてアーティスト自らじっくり紐解いていただいた『SOUND PUREDIO presents 音解』。
そんな「音解」がひさびさに復活。
過去に登場した全117回、合計82組のアーティストの中から、今こそ改めて振り返りたいお宝音声をプレイバック。パーソナリティも再び集まり、当時の思い出とともに振り返ります。
今週は2018年2月24日に登場していただいた、寺岡呼人さんのインタビューを振り返ります。
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2月24日のゲストは寺岡呼人さんです。 - SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)
当時のパーソナリティはこはまもとこさん。
「呼人さんは50歳の節目のタイミングだったんですね。歳を重ねるということの良いお話が聞けたんですよ」
ソロアーティストとして、JUN SKY WALKER(S)の一員として、コンポーザーとして、そして多くのアーティストから絶大な信頼を誇る人気プロデューサーとして充実の50歳を迎えた寺岡呼人さん。
この回ではそんな今の年齢と無理なく向き合い、その時なりの自分を自然に表現したいという大人の音世界を垣間見ることができたのではないでしょうか。
今回振り返るお相手は、こはまもとこさんとちんです。
この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く! → FM福岡 / FM山口
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員が聞くことができます)
この日の寺岡呼人さんが自らピックアップしたドライビングミュージックはAOR。
Bill LaBounty の「Livin' It Up」、数々のアーティストにカバーもされたAORの名曲です。
「この頃のイーグルスとかリンダ・ロンシュタットとかすごい聞いてるんです。憧れもあるんですね。
この時代の音楽って今聞いても演奏も楽曲も素晴らしいなと思っていて。僕は最近、家でアナログレコードばかり聴いてて、アナログレコードをPC経由でCDR に取り込んでそれを車で聞いてるっていう。それくらい音も好きです」
そう笑顔でお話をしている間も、クールでゆったりとしたグルーヴがスタジオを満たしていくようで、思わずリラックス。
そんな寺岡呼人さんが50歳の誕生日にリリースしたニューアルバムが『LOVE=UNLIMITED』です。
50歳になったことについてたずねると、こんな答えが返ってきました。
「色んな思いがありますよね。感慨もありますし、いやいや、まだまだこれからだっていう思いもあります」
憧れたRCサクセションの仲井戸麗市さんや松任谷由実さんが50代を迎えたときに、寺岡さん自身が思ったこと、そして自身がその年齢になったことへの感慨や思いを交えながらお話してくれました。
今回のアルバムには、そんな「今」の寺岡さんの音楽がギュッと詰まっています。
「そうですね。本当のロックンロールっていうのは多分30代は30代の、40代は40代の日常を歌うことがロックだなと思っていて、そういう意味で50代の日常を切り取ってみようという感じですね。
無理やり10代の事をまた歌おうと思っても、絶対に昔のようには書けないですね。例えばピカソがその時代によって作品が変わるように、それってとても大事なことだなと思いますね」
アーシーなサウンドで伸びやかに歌われる「種まき人」、大人は最高!とやんちゃに肯定するRCサクセションを思わせるロックチューン「大人はEぜ!」などバラエティ豊かで、様々なスタイル、サウンドが詰まったこのアルバム。
そんな中から、寺岡さん自身に一曲ピックアップしてもらって、じっくりとお話していただきました。
寺岡さんが選んでくれたのは、アルバムの中でもとりわけユーモラスでノスタルジックな一曲「仕舞支度」です。
この曲、いきなり「五十過ぎれば 残された人生について考える」という一節ではじまります。
「早いといえば早いんですけど。でも実際(50が)来ちゃうと完全に折り返した!って感じがしたんで、ついついこういうフレーズが出てきましたね」
そんな日常と思いを、ちょっととぼけたユーモアも交えて書かれた歌詞を、少し哀愁も感じるノスタルジックでフォーキーなメロディが彩ります。
「歌詞がこうなんで、イメージはフォークの人がニュージックになった感じというか。その頃の海援隊とかですね。フォークから来たんだけど、なんか歌謡曲みたいなアレンジになっちゃったりするじゃないですか。ああいうごった煮感とかイメージしましたね」
ギターやピッコロの音色が懐かしい感じですよね。
「ピッコロが僕の中の海援隊です。荒川土手歩いているみたいでしょ(笑)」
このインタビューを振り返っていたスタジオでも「もはや海援隊にしか聞こえない」とはしゃいでいましたが、それだけにとどまらず、あくまで今の音楽として聞こえるように腐心したと言います。
「ラジオで流れてくると、懐かしい感じがするんだけど昔の曲じゃないよねっていう雰囲気にしたかったんですね。で、後は高田漣くんにバンジョーとスティールギターを入れてよりそれらしく」
そんなユーモアと哀愁も交えた「大人の洒脱」を感じるこのナンバーですが、ボーナストラックでは、盟友Mr.Childrenの桜井和寿さんを迎えた「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャーfeat.桜井和寿」とともに、落語家 春風亭一之輔さんを迎えて、なんと落語とのコラボ「仕舞支度 feat.春風亭一之輔」としても収められています。
この曲では今もっとも多くの方に支持されている噺家のひとり、春風亭一之輔さんの極上の語り口でさらに深くユーモラスに歌詞の世界を表現するという、他の誰も真似できない一曲となっています。
「大好きな噺家、一之輔さんに手伝って欲しいなと思ったんですけど、好きすぎて言い出せなかったんです。でも意を決して『ちょっとこういう感じでお願いしたいんですけど』てオファーしたら二つ返事で快く引き受けてくれたんですね。 いやーもう贅沢でした」
と本当に感慨深げ。
「きっと男女の機微っていうのは江戸時代も今も未来も変わらないような気がしたんですよね。男のだらしなさも奥さんの強さも。だから我ながらナイスアイディアだなと」
笑いながらちょっと自画自賛。
今の自分と向き合いながらも、肩の力が抜けて少年のような若々しさで自身の音楽について語る寺岡呼人さん。現在のシーンを俯瞰しながら流れるように自身やこれからについても自在に話し、解き明かしてくれました。
その言葉には、音楽の世界で生きてきた経験と揺るぎない自信を感じさせ、そしてなによりも楽しそうです。
そんな寺岡呼人さんに魅了された今回のインタビューでした。
それから2年。
2020年、現在の寺岡呼人さんは、旺盛な音楽活動とともに、テレビ「関ジャム」での音楽解説で幅広い音楽ファンに支持されるなど、さらに活躍のフィールドを広げてます。
最新アルバムは昨年11月にリリースされた『NO GUARD』。
多忙を極める中、1年半でリリースされたこのアルバムは、迫力溢れるアートワーク同様に、高いモチベーションで望んだ意欲作です。
今回もバラエティに富んだ楽曲が並ぶそんなアルバムの中には『LOVE=UNLIMITED』同様に、人生の後半に差し掛かった50代の男性を歌った「飛行機雲」も収められています。
鈴木茂さん(元キャラメルママ)を迎え、タイトルも含めて敬愛してやまない松任谷由実さんへのリスペクトも感じる一曲、今回も聞き所がいっぱいです。
今回も50歳を超えてより深化した、大人の余裕も感じるアルバムでもあります。
そして、今年10月からは、そのアルバム名を冠した全国ツアー『寺岡呼人ツアー2020 〜NO GUARD〜スペシャルゲスト 浜端ヨウヘイ』を開催予定。
福岡公演は、11月7日(土)、会場は福岡ROOMSです。
詳しい情報は、寺岡呼人さんのオフィシャルWEBサイトでご確認下さい。
次回は、2019年5月25日に放送した平原綾香さんのインタビューを振り返ります。
どうぞお楽しみに。