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2018年9月29日の Aimerさんをプレイバック。




2017年の4月から2019年の6月までの2年と2カ月、新旧話題のアーティストをお招きして、その音世界についてアーティスト自らじっくり紐解いていただいた『SOUND PUREDIO presents 音解』。
そんな「音解」がひさびさに復活。

過去に登場した全117回、合計82組のアーティストの中から、今こそ改めて振り返りたいお宝音声をプレイバック。パーソナリティも再び集まり、当時の思い出とともに振り返ります。

今週は、先週に引き続きAimerさんの登場回を振り返ります。
今週は2018年9月29日の回。



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9月29日のゲストはAimerさんでした - SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)


スタジオのAimerさんは、こちらの勝手なイメージとは随分違ってよくお話をしてくれてよく笑う。そして、自身の音楽について語る時は、一つひとつの言葉を丁寧に選びながら嬉しそうに喋るのがとても印象的でした。

今週は引き続き「声」にこだわりながらも、もう少し広いお話を。
Aimerさんが影響を受けた、意外なあのグループのお話も?ご期待ください。

今回も振り返るのは、ちんと香月千鶴さんです。


この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く! → 
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(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員が聞くことができます)


この回のドライビングミュージックは、7周年を飾る15枚目のトリプルA面シングル「Black Bird / Tiny Dancers /思い出は奇麗で」からEDM調のダンスチューン「Tiny Dancers」から。

実際、この曲のMVでは少女のようにステージでピョンピョン跳ねながら歌うライブでのAimerさんが登場します。

「ライブのことを想像しながら皆さんが盛り上がっているところを見たいな、という思いで作りました」

先週に続いて、Aimerさんのライブへの強い思い。

「やっぱりライブは、活動するごとに自分の中で大きなものになってきて、その中で皆さんと盛り上がるような双方から力を分け与えると言うかぶつかり合って爆発させるような場面が欲しいなー。っていう思いが増してきて」

そんな話をするAimerさんの口調はとても力強くて、シンプルにライブが好きという気持ちが伝わってきます。

現在のAimerさんにとってライブは、非常にかけがえのないものなんですね。

さて、今回の「Black Bird / Tiny Dancers /思い出は奇麗で」では、そんなバラエティ豊かな楽曲とともに、キャラクターの違いにあわせて、歌い方を変えているあたりも聞き所です。

「自分でも意識しながら本当に声でも色とりどりにしたいなと思って作っていきました。『Black Bird』ではちょっとシリアスでロー(低音)の効いた声になってて、『Tiny Dancers』は意識してちょっと高めの幼い声で、『思い出は綺麗で』は少し昔の思い出を今懐かしむような大人びた声で歌っていたりと、本当に今表現できる『声色』を最大限に使っているので、楽しんでくれたらうれしいです」

スタジオで当時を振り返っていた香月さんは「それぞれの曲で声色を変えるなんて興味深いですね」と感心。

Aimerさんがインタビューなどでもよくお話していることなのですが、15歳で一度喉を痛めてしまって、そこから努力と葛藤を超えて手に入れたのが現在の声。それは今も不安定な状態で、維持することに大変苦労しているそうです。

そんなエピソードを知ると、誰よりも「声」と向き合わざるを得ない、そして誰よりも「声」に愛を持ってこだわるアーティストとなったこともよくわかるような気がします。

今回はそんなAimerさんの原点を探るべく、Aimerさんの「ルーツ・ミュージック」を選んでいただきました。

「『ルーツミュージック』というとちょっと語弊があるかもしれませんが」と、少し躊躇しながら選んでくれたのはスピッツの「渚」でした。

「この曲は、特に歌詞のワンフレーズにすごく大事にしているところがあって、それを自分の作品に活かしたと言うか、自分の作品でリスペクトを込めて作った部分があってこの曲を選んでみました」 

ここまで少し迷いながらお話しているような雰囲気もあったのですが、スピッツ自体お好きなんですね?と聞くと、

「大好きです!」と迷いなく答えてくれました。

「大好きすぎて、一口では言えないんですけどまず草野さんの声の感じがすごく好きで、ある意味ちょっと中性的な人って声に憧れてます。 自分の声を褒めていただく時に『ちょっと中性的な部分があるね』って言われるのがすごく嬉しくて、こういう声になれたらいいなと思うアーティストの一人ですね」

と、やっぱり声が大好きみたいです。
しかし、今回この曲を選んでくれた理由はそこではないんですね。意外や意外、スピッツのこの楽曲は直接的にAimerさんの楽曲とつながっているのでした。

「端的に言えば この曲の中に出てくる単語がすごく頭に残っていて、そこから生まれた曲があるっていう感じですね」

そこから生まれた曲とは、Aimerさんの2011年のファーストシングルでもある「六等星の星」です。アニメ『No.6』のエンディングテーマでもあるこの曲。

「これ本当に初めて言うんですけど、ズバリ『六等星』って単語ですね。
『渚』の中で『ぼやけた六等星だけど思い込みの恋に落ちた』っていう一節が大好きなフレーズで、自分のストックのひとつに入れていてこの最初のデビュー曲のタイトルをつける時にそこから『六等星』と」

アニメのタイトルが「No.6」だからだとばっかり。

「もちろん、その意味でもあるんですけど。
英語で『No.6』というのがまずあるし、スピッツのフレーズを思い出して『六等星の夜』というふうにつけました。実は、この曲は歌詞には『六等星』っていう単語は一回も出てこなくって、タイトルだけがちょっと違うという私の曲には他にはあんまりない珍しいパターンなんです。
これ、本当に今始めて言う話なんですけど(笑)

少し苦笑気味のAimerさんに、申し訳ない!と思いつつも、ちょっとうれしい初出しのお話聞くことができました。

ちなみに、言葉通りのルーツミュージック、始めて好きになった曲は子供の頃に観た映画「アニー」の「トゥモロー」だそう。

「最近リメイクされた方ではなくて、古い方の作品が本当に好きで。主人公の女の子が7歳とかまだ幼い子なので、声が透き通っていて。そういう声に憧れて歌い始めたのが歌うってことの最初かなと思います」

やっぱり声なんですね。


そんなAimerさんの今年、2020年。

9月9日に、通算19枚目のシングル『SPARK-AGAIN』をリリース予定。
この曲はTVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』オープニング主題歌になっています。
先行配信はすでにスタートしていますよ。

疾走感あふれる、パワフルなこの曲は、今回話題になったメジャーデビュー曲の「六等星の夜」も手掛けた飛内 将大さんの楽曲です。


ちなみに現在のところ、9月から予定されていた『Aimer Acoustic Tour 2020』の全公演は中止が発表されています。

詳しくはAimerさんのオフィシャルWEBサイトでご確認ください。

Aimer Official Web Site (外部リンク)


2週に渡ってお届けしたAimerさんの音解。いかがだったでしょうか?

「結局、私、声のオタクなんですよね」

収録の途中、ふいにAimerさんはそう笑いながら言っていたのを思い出しました。
先週、今週のお話を聞くとポップスのシンガーにとって声は楽器であり、絵筆であり、カメラであり。そんな声に真摯に向き合い繊細に繊細に操るためにここまでこだわるのかと感嘆する場面が何度もありました。

もっとも、そんなことを考えていても、Aimerさんはただ嬉しそうに小さなこだわりに至るまでお話をしてくれていて、やっぱりここは「声のオタク」と一言で言い切っちゃうのがふさわしいような気もしました。

そして、その進化は今もなお続いているのですね。
これからのAimerさんにも注目です。

さて、次週は2017年9月9日に放送したジャズピアニスト、国府弘子さんのインタビューを振り返ります。

どうぞお楽しみに!