FM 福岡 FUKUOKA

2018年3月31日の斉藤和義さんをプレイバック。



2017年の4月から2019年の6月までの2年と2カ月、
新旧話題のアーティストをお招きしてその音世界についてアーティスト自らじっくり紐解いていただいた『SOUND PUREDIO presents 音解』。

全117回の中で登場していただいたアーティストは合計82組。
SOUND PUREDIO presentsの名にふさわしい「音」世界に徹底的にこだわって、他では聞くことのできないような楽曲の秘密までをアーティスト自ら解き明かしてくれました。

そんな「音解」がひさびさに復活して、6月は4組のアーティストのお宝音声をプレイバック。パーソナリティも再び集まり、当時の思い出とともに振り返ります。

今回登場するのは2018年3月31日の斉藤和義さん。


もちろん皆さんおなじみの日本を代表するシンガーソングライターです。

1993年の「僕の見たビートルズはTVの中」でデビュー以降、数多くのヒット曲を始めとしてブレることのない音世界、そしていつも自然体で飄々としたキャラクターに憧れる人も多いハズ。 

そんな斉藤和義さんの2018年3月31日はデビュー25周年イヤーで、全編80年代の電子楽器をフィーチャーした斉藤さんのキャリアでも異色のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』を発売したばかり。

そんな中でのインタビューは思いがけず、今もなお「音楽少年」のままで、嬉々として音について語ってくれるすてきな回となりました。

今回振り返るのは当時担当したちんと香月千鶴さんです。

この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く! → FM福岡 / FM山口

(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員 の方が聞くことができます)


「今まで音解で担当した中で思い入れの深い回です。
斉藤さんの音楽好き、楽器好きな一面が溢れ出ていて楽しかったですね。ぜひ聴いてほしいです」
ちんが当時を振り返ってまず一言。

この回、斉藤さんがドライビングミュージックとしてピックアップしてくれたのは意外や意外、イエロー・マジック・オーケストラの「ファイアークラッカー 」

バリバリのバンドサウンドやブルースかなと予想していた私たちにはちょっと意外な選曲。そんなこちらの声に応えて披露してくれたのは、音楽に目覚めた少年時代の思い出でした。
そして、実はこの選曲が今日の全体の予告編になっていたんですね。

さらに、ここでは斉藤和義さんとカーオーディオのお話も。

「車で聞くのが一番好きですねー」
自宅とスタジオの途中の公園で爆音で聞くのが好き、とここではイメージぴったり。
車と車で聞く音楽についても興味深いお話を聞かせてくれましたよ。


さてこの日の本題は、通算19枚目のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』

ほとんどの楽曲が1人多重録音であるのはもちろん、全面的に電子楽器をフィーチャーした異色作でもあります。

「そうですね。今までにない作り方をしてみたいなと思って。80年代のドラムマシンだったりシンセサイザーだったり、そういうのを駆使して作ったんですね」

そう、実は使われているのは、電子楽器とはいってもTR-808やLINN DRUMといったテクノポップを中心に80年代を席巻した懐かしいデジタル機材ばかり。ところがそれ狙いがあってというよりも...

「ちょうど去年ヤオヤ(TR-808)をいただいこともあって。MIDIってあるじゃないですか。あ、こういうことなんだ!ってやっとわかって、楽しくなっちゃって」

思わず「今ですか?」と聞くちん。斉藤さんもフフフンと笑います。

それこそYMOが活躍していた時代に一気に音楽業界を席巻して、今もなおその技術が受け継がれているインターフェース、規格がMIDI。音楽業界も長い斉藤さんなのに、その使い方を今覚えたってなんだかすごいお話。

ここで80年代おじさんのちんと機材の話でひと盛り上がり。
楽しそうにそんなお話をしている斉藤さんを見ていると、今回のアルバムの意味についてすごく理解できたような気がします。

初めてギターを手にして、ちっとも思い通りにならずに悪戦苦闘しつつも楽しかった少年時代と、今ビンテージ機材とMIDIを手にして悪戦苦闘しているのは全く同じ。新しい発見に胸をときめかせて、嬉々として機材をあれこれ繋いでいる姿が目に浮かぶようです。

つまりこのアルバムは、異色の一枚のようでいて、初期衝動と音楽少年の楽しさに溢れた本当の意味での原点回帰なんだろうなあ。

そんなこちらの勝手な思いは続いて、斉藤さん自らピックアップして解説してくれたアルバムの中の一曲「オモチャの国」で、さらに強くなりました。

いきなり、サンプリングが登場した初期の初期、歴史的ドラムマシン、LINN DRUMを使ってみるとデジタルでも個体差があってリズムが「揺れる」のが面白いなんてお話から。

またもや楽しげに機材のお話が始まりました。

「その上に生で自分でギター弾いたりたりするもんだから。結局は人間がやったのとは違うんだけど、機械と一緒にやる独特のグルーブも出してみたりして それがまた楽しかったですね」

本当にこのアルバム制作楽しかったんだろうなあ、なんてこちらまで嬉しくなります。さらに近年のアルバムでは一人多重録音がどんどん増えてきている理由もこんなふうに教えてくれました。

「スタジオミュージシャンとだとすごいうまいんですけど、『そんなにうまくなくてもいいのになぁ』みたいなのがあって(笑)、自分の頭の中にあるのはもっと適当な感じなんだけどなって思って。これでいいんだけどなーって(だんだん宅録が)増えちゃったんですね」

斉藤和義さん自らの口で、このアルバムについて色々聞かせていただくと、今回の作品は異色でもなんでもなくって実は音楽少年の原点に立ち返った、純度100%の斉藤和義のアルバムなんだなとすごく納得しました。


そんな楽しいお話を聞かせてくれたインタビューからおよそ2年。今年1月、ニューアルバム「202020」が発売されました。


記念すべき20枚目のアルバムは今回の「Toys Blood Music」とは真逆の全編ライブ感溢れるバンドサウンド。

だけど、今回の音解を聴いた後なら、今回のアルバムが「Toys Blood Music」からしっかり連なる作品だと気づくはず。

20枚目にして新鮮さを失わない楽曲と気の合うメンバーとのキャリアに裏打ちされた肩の力を抜いた熟練のラフさ。そこには音楽の楽しさに溢れています。

それは前述の自分の頭の中にあるのはもっと適当な感じなんだけどな』そのものでもありますね。

結果、近年でも最も親しみやすくて楽しい一枚になりました。

この素晴らしいアルバムを携えて、今回のレコーディングメンバーで全国を回る『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2020』も、間違いなく私達の期待に応えるステージとなるはずだったのですが、6月の福岡公演は残念ながら延期。

他の公演についても一部は延期、および見合わせとなっています(詳しくは公式WEBでご確認ください)。
再びそのステージを目の前で見ることができる日を待ちたいところですね。

今回の2018年3月31日のインタビューでは、本当に音楽と楽器が好きで心の底から楽しそうに語る斉藤和義さんの姿を垣間見ることができました。そして現在もなお多くの音楽ファンが愛してやまない、斉藤和義さんの人気の秘密を知ることができたような気がしますね。

KAZUYOSHI SAITO OFFICIAL WEB SITE (外部リンク)


さて、次回はスキマスイッチのお二人。2018年5月5日に放送したインタビューを振り返ります。
どうぞお楽しみに!



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