FM 福岡 FUKUOKA

2026年5月のテーマ 鰹 ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「鰹」です。



鰹は、およそ8000年前の貝塚からも骨が見つかっていて、古くから食べられてきた魚です。鰹節は、およそ1300年前には原型ができていたようで、この頃、傷みやすいので干して堅くなったものを食べていたことから「堅魚(かたうお)」と呼ばれるようになり、それが「かつお」に変化したと言われています。漢字もそのまま「魚偏」に「堅い」にです。古事記や万葉集にもその名が登場することから、とても身近な魚だったことが分かりますね。

鰹は常に泳いでいる魚で、通常で時速10キロ程度、本気でダッシュしたら時速60キロ超えのスピードが出せて、その生涯で5万キロもの距離を移動すると言われています。なんと、地球1周以上です。それだけ泳ぐのは、常に水を受けていないとエラ呼吸できないのと、浮袋が未発達のため、止まると沈んでしまうから。寝る時も常に泳いでいるということなので、私たちからすれば、休憩できないなんて、ちょっとかわいそうな気がしてしまいますね。

そんな鰹は、季節に応じて呼び名があり、春は初鰹、夏は夏鰹、秋は戻り鰹、冬は迷い鰹を呼ばれ、この中でも旬は初鰹と戻り鰹です。
初鰹は、日本の沿岸を北上している最中に水揚げされる小ぶりな鰹で、身が引き締まっているので歯ごたえが良く、脂が少ないので特有のクセもすくなくて食べやすい鰹です。
一方の戻り鰹は、南下している最中に水揚げされるもので、脂ののりもよく、身がもっちりしていて大きく育ったものになります。

さて、今は初鰹のシーズンですが、この初鰹に熱狂したのは、江戸時代のこと。今の貨幣価値でうどん1杯が260円くらい、大工の日当が6,600円くらいのところ、山東京山の随筆「蜘蛛の糸巻」に登場する初鰹の値段はなんと1尾3両といいますから、24万円くらい。もう年収どころの騒ぎではありません。それでもお金持ちが夢中になって食べていたのは、初物を食べると75日寿命が延びると言われていたのと、見栄っ張りで新しもの好き、とにかく他人よりも早く食べるのが粋だった江戸っ子の気質によるものです。
そんな初鰹も今では手頃な価格で味わえます。
皆さんの今夜の食卓にいかがですか?