FM 福岡 FUKUOKA

2025年12月のテーマ ぶり ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「鰤」です。



鰤は、冬の味覚を代表する魚です。
日本全国で獲れますが、特に北陸から西日本にかけては、祝い事に欠かせない「年取り魚」として人気があります。
年取り魚とは、成長して大きさが変わるごとに名前が変わる魚のことで、別名「出世魚」とも言います。
孵化してすぐは、藻にくっついて泳いでいるので、「藻」と、小さい魚を表わす「ジャコ」を合わせて、「モジャコ」と呼ばれています。
そして、地方によって呼び名は変わり、だいたい関東ではモジャコから始まって、わかし→いなだ→わらさ→ぶり、西日本では、つばす→はまち→めじろ→ぶり、北陸地方では、こぞくら→ふくらぎ→がんど→ぶり、九州では、やず→わらさ→ぶりと出世していきます。
この鰤、一般的には回遊魚なのですが、根付きといって、特定の海域から出なくなるものもいます。しかも、モジャコが簡単に獲れるということで、養殖にとても向いています。鰤は、日本で一番養殖されている魚なんです。

そんな鰤ですが、天然と養殖の違いは、その食感と脂ののりに一番出ます。
天然は回遊しているので筋肉が発達し、しっかりした弾力で食べごたえがあります。
一方の養殖はストレスのあまりない環境で育てられるため、一年通して品質が保証され、脂ののりも良いです。地域によっては与える餌に特徴を出し、味わいの差別化を図っているものもあります。どちらを使うかはお好みで。

さて、中には魚の生臭さが苦手だと言う方もいると思いますので、とっておきの方法をいくつかご紹介しましょう。
まずは、定番の酢洗いです。米酢をふりかけることで、不快なにおいを抑えることができます。刺身で食べるなら、そのまま塩をしてさらに置いて酢締めしても良いですし、煮物や照り焼きなど加熱すると酢の匂いは気にならなくなります。
同じように、醤油を使った醤油洗いもあります。もちろん、この時使った醤油は捨てます。
他に、80度に熱したお湯にサッとくぐらせる湯霜という方法もあります。水だけでもいいですし、ちょっとお酒を加えると風味がよくなります。
後は、味噌や生姜など、臭みをマスキングしてくれるものを使うのも良いでしょう。

福岡の正月、雑煮には欠かせない鰤。
今が寒鰤と言って、一年で一番美味しい時期なので、雑煮だけではなく、色んな料理で味わってください。