2025年10月のテーマ 鮭 ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「鮭」です。
鮭は種類ごとに異なる旬がある魚です。
一般的に日本で獲れる白鮭で、産卵のために川に戻る9月頃から獲れはじめるものは、秋鮭と呼ばれています。また、鮭は回遊魚であるため、旬の時期は産地によって少しずつズレが生じ、北海道は9から10月、青森県は10から11月、岩手県は9から1月、秋から冬にかけてが旬になります。
鮭は昔から様々な方法で食べられていて、日本では、凍らした刺身のルイベや氷頭なます、塩漬けにした新巻鮭や、塩引き鮭、塩焼き、焼漬け、鍋、炊きものなど、様々。頭から尾、内臓まで何ひとつ捨てるところが無い滋養食材とも言われています。
海外に目を向けてみると、ノルウェーでは、塩、砂糖、ディルでマリネした「グラブラックス」、フィンランドでは、ジャガイモやニンジンと一緒に煮込んだスープの「ロヒケイット」、フランスのムニエルやタルタル、イタリアのカルパッチョ、アメリカのスモークサーモン、中国では甘辛く炒めたり、韓国では茹でたりもします。
「鮭は川に戻る」と言いましたが、どの川でも良いわけではなく、生まれた川を選んで戻ってきます。生まれた川のにおいを記憶していると言われていますが、正確なところ、なぜそんなことができるのかは未だに解明されていません。
また、淡水と海水の両方を行き来できるのも、鮭の不思議な生態の一つです。
そのような生態が人々を想像の世界へと駆り立てるのか、古代ケルトでは、この世と異世界を行き来する魚として扱われたり、日本でも、一部の地方では、古くは予知能力があるとか、捕まえると祟りがあるとかいう言い伝えがあります。
ちなみに、福岡には、全国で唯一、鮭を祀っている神社があるのを知っていますか?
名前はそのまま鮭神社で、嘉麻市にあります。
建立は769年と伝えられていて、昭和初期までは、神社の近くまで遠賀川を上ってきていたそうです。福岡でも鮭が獲れていたなんて、信じられません。そして、無事に上ってくるかどうかで豊作を占い、祭礼で納めます。ちなみに、獲れない年は、大根で代用です。もっぱら最近は大根が多いみたいです。
また、氏子たちは、鮭は神様の使いということで、今でもあまり食べず、もし食べてしまったなら、「今のは鱒だった」と言い訳する、面白い風習も残っています。
今、とても美味しい秋鮭。
神様からの恵みに感謝して、頂きませんか?