2025年9月のテーマ さんま ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「秋刀魚」です。
秋の使者と言われる秋刀魚。
回遊魚の秋刀魚は群れを成して泳いでいるので、一度に大量に獲れたことから大衆魚となっていますが、昔の人は脂がのっているのは下品な魚と言ってあまり好まず、一般的に食べるようになったのは、江戸時代後期から。それまで「猫またぎ」と言って身分の高い人は食べなかったのですが、有名な古典落語「目黒のさんま」では、秋刀魚の美味しさに感動するお殿様が描かれていることから、徐々に秋刀魚の魅力が広まっていったのが分かりますね。
さて、日本で食べられる主な秋刀魚は、太平洋で育ったものです。
ほぼ一年中産卵しているのですが、ピークは、秋から冬と春の2回です。このうち、春に生まれた方が栄養が豊富な夏にグンと育つので大型になると言われています。そして、冷たい海水が好きなので、夏の間はアラスカの方まで上がっていってて、暑さが和らいでくると南下し、日本の近海でも獲れるようになるというわけです。
そんな秋刀魚ですが、日本各地に郷土料理があります。
代表的なものは、三重県や和歌山県の秋刀魚一本丸ごと使った秋刀魚寿司や「なれずし」、ミンチにして「つみれ汁」、福島県では、そのミンチを使ったハンバーグのような「ぽーぽー焼き」、宮城県には、魚醤で煮込んだ「秋刀魚のきがき」、岐阜県には秋刀魚を丸ごと炊き込んだ「さよりめし」という炊き込み御飯などです。
でも、私たちがもっとも身近なのは、秋刀魚の塩焼きではないでしょうか?
では、その料理のポイントをいくつかご紹介しましょう。
まず、表面を優しく洗って鱗を取り除き、一匹丸ごとグリルに入りきらない時は、2つにカットします。
この時、背の中心からワタが終わっているところまで斜めに切ります。
そうすると、肝心なワタを傷つけることがなくなりますし、火が当たる部分が増えるので、まんべんなく焼けます。
また、振り塩をして、余計な水分を抜くと良いです。
そして、グリルは焼く前にしっかり温めておくと、皮が張り付きにくく高温で素早く焼くことができます。
ちなみに、ワタが苦手な人は、ワタだけを取り除いて裏ごしして調味料と合わせてソースにしても良いです。
さあ、皆さんも香ばしい煙とともに、秋の秋刀魚を楽しんでみませんか?