2025年6月のテーマ イサキ ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「イサキ」です。
イサキは、日本各地の沿岸にいて、夏の到来を告げる大衆魚を言われています。
鮮度が落ちるのが早いため、昔は美味しくない魚と言われていましたが、冷蔵・冷凍技術が進んで、旬の時は鯛にも負けない美味しさだと、格上げされました。
このイサキ、様々な漢字が当てられていますが、背びれの刺が鶏の鶏冠の形に似ていることから、「鶏の魚」と書くこともあります。英語では、「Chicken grunt(チキン・グラント)」と書きますが、これは水揚げした時に「グーグー」と鶏のように鳴くことから付けられたものです。なんだか、日本でも海外でも魚を鶏に見立てているなんて、面白いですね。
また、大人になる前のイサキは、白い縦縞模様があるため、海のウリボウとも呼ばれています。
さて、その味わいは大小変わらず美味しいのですが、やはり、1kg以上になると別格の旨さです。関東では塩焼きにすることが多いですが、最近では、刺身で食べたり、煮付け、フライ、ムニエル、どんな食べ方をしても美味しく、各地に郷土料理があります。愛媛県の「さつま」という料理は、イサキを焼いて身をほぐして麦味噌とすり鉢であたり、出汁、こんにゃく、葱、みかんの皮などと一緒に麦飯にかけます。イサキは熱を通しても身が硬くならないので、焼く時にはアルミホイルを使うとうまくいきますよ。千葉では、味噌と一緒にたたいて「なめろう」にします。徳島では、イサキを煮漬けた煮凝りに冷たい素麺をつけたり、伊豆大島では、アシタバを入れた「あら汁」があります。そして、旬の時期に獲れたイサキには、白子や真子が入っていたりするので、これを炙ったり煮漬けても美味しいです。
ただ、イサキの中骨はとても硬く、のどに刺さると大変なことになるので、くれぐれも骨の扱いには注意してください。
ところで、先ほどイサキのウリボウは縦縞と言いましたが、魚の縞の縦と横は、どう判別するか分かりますか?答えは、人が立っているように魚の頭を上にしてみたら分かります。頭から尾っぽにかけての縞は縦縞で、ボーダーになっていたら横縞です。
イサキを食べて、くれぐれも邪な考えを持たないように、品行方正にいきたいですね。