2024年11月のテーマ 牡蠣 ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「牡蠣」です。
牡蠣の歴史は非常に古く、化石にもなっています。
世界中の海域に広く分布していて、特に沿岸の浅瀬や河口付近の汽水域に多く生息していたので、比較的手に入りやすく、人間は昔から食べていました。
名前の音である「かき」は、岩に張り付いているものを「かきとる」からだと言われています。
日本で冬に食べる主な牡蠣は「真牡蠣」で、海外では「アトランティック」「オリンピア」「パシフィック」などがあります。
そんな海外の牡蠣事情ですが、以前、壊滅の危機になったことがあり、日本の真牡蠣を輸出し、現地で養殖して牡蠣の危機を救いました。この時、海外の牡蠣よりも小ぶりですが味が濃くて美味しいと評判になったので、今でも日本生まれの牡蠣を養殖している業者が多くいます。
ところで、牡蠣の生態はとても不思議です。
真牡蠣は冬場が旬と言われるのは、夏になると産卵するため味が落ちるからです。
そして夏に生まれた牡蠣は最初、プランクトン状で、海の中を漂った後、固い物に付着するとそこから移動せずに、海水から植物性プランクトンを漉し摂って成長していきます。その濾す海水の量は、1時間に10リットル以上です。だから、牡蠣は美味しいだけではなく、水質保全にも一役買っていると言われています。
また、生命力が強く、心臓を傷つけないように丁寧にむき身にすれば、4、5時間は元気に呼吸し続けます。これも、牡蠣を食べれば元気になると言われる所以かもしれません。
さて、牡蠣もシーズンになると牡蠣小屋に行く人も多いと思いますが、その時のネタになる話をいくつか紹介しましょう。
牡蠣の殻は平らな方の殻が右殻、丸みのある方が左殻で、とても強い貝柱で結びついていますが、右殻側の貝柱を切れば、あっけなく開きます。
また、焼くときは、殻の端をハサミなどで切って少しすき間を開けてあげることで、中に水蒸気がこもらず、爆発することはありません。
ちなみに、いくつもの層になっている牡蠣の殻ですが、木の年輪と一緒で、幅や数で年齢や成長の度合いが分かります。
1つの層がおよそ1か月、幅が広いと栄養が豊富な時期でグッと成長したことになります。また、夏を越したところは栄養が少なく色がぼけているんですね。
最後に一つ、牡蠣を食べる時の下準備の話をしましょう。
剥き身で頂くときは、キレイに見えても一度洗うことをお勧めします。
ただ、身がとても柔らかいため、流水だと崩れてしまいます。
一番簡単なのは、3%の塩水にくぐらせ、ザルを使った「ふり洗い」。
もし臭みが強いなと思ったら軽くレモンを絞ってください。
また、昔から日本では大根卸を汁ごと使って汚れやぬめりを落としています。
中国では片栗粉を混ぜて汚れを吸着させて、洗い流します。
さあ、これからもっと美味しくなる牡蠣。
あなたは、どんな料理にしますか?