FM 福岡 FUKUOKA

2024年10月のテーマ 明太子 ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「明太子」です。



人間は太古の昔から玉子を食べてきました。
玉子には、キリスト教のイースターに代表されるように「復活」や「再生」などの意味があるだけではなく、栄養価が高いことを知っていたのです。
そして、日本は海に囲まれた国だから魚を余すところなく食べるように研究を重ねた結果、様々な魚の卵“魚卵”を食べるようになりました。

ということで、まずは日本で食べている魚卵を紹介しましょう。
「明太子」「たらこ」は、スケトウダラの卵、「いくら」「すじこ」「べにこ」「ますこ」は、鮭、紅鮭、マス科の魚の卵になります。「数の子」は鰊、「からすみ」はボラ、「キャビア」はチョウザメ、「ぶりこ」はハタハタ、「とびこ」はトビウオの卵です。最近は、「とびこ」の代用品として、カラフトシシャモの卵を使った「いそっこ」もあります。
珍しいところでは、たこの卵巣である「たこまんま」、ナマコの卵巣である「くちこ」、ヤマメの魚卵から作られる「黄金いくら」、岩魚の魚卵を使った「天のしずく」などの川魚のものもあります。

ネーミングも面白いです。
「明太子」は、皆さんご存じのように韓国語のスケトウダラを表す「ミョンテ」が由来ですし、「いくら」はロシア語の「魚卵」、「キャビア」はトルコ語、ハタハタの魚卵なのに「ぶりこ」というのも調べると奥が深そうです。

さて、明太子の親であるスケトウダラは、冷たい水を好み、水深100メートルから400メートルまでの深海に生息していて、日本海北部や北海道で刺し網、底曳き網、延縄などで獲れる魚です。3年ほどで成魚となり、寿命は15年と言いますから、結構長生きです。

スケトウダラの身は白く、ポロポロしていて、鍋や味噌汁の具材にしたり、煮漬けたり、蒲鉾や竹輪などの加工品に使われています。
イギリスでは、あの有名な「フィッシュアンドチップス」にもなっています。カトリックの多いイギリスでは、イエスが十字架にかけられた金曜日はお肉を食べることを節制して、魚を食べる日とされていたため、「フィッシュアンドチップス」が発展。モルトビネガーをつけて食べるのが伝統的ですが、今ではカレーソース、グレイビーソースなど、様々な味のものが出ています。
同じように明太子の味も漬け込み方、フィニッシュの仕方でバリエーション豊かになってきています。是非皆さん、様々な味をくらべて、自分の好きな味と食べ方を見つけてみてください。