2024年9月のテーマ 鯖 ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「鯖」です。
鯖は縄文時代の貝塚からも発見されるなど、日本にはなじみが深い魚です。
各地に郷土料理があり、鯖と野菜の醤油味の煮物である但馬地方の「じゃう」、塩サバの汁物である大阪の強度「船場汁」、糠漬けにした福井の郷土料理「へしこ」、京都の「鯖寿司」、福岡の「胡麻鯖」などなど。
京都の「鯖寿司」は、福井県の若狭湾で鯖がよく獲れていて、冷蔵技術がなかった時代に鮮度が落ちるのが早い鯖を塩漬けしたり、糠漬けしたり、酢漬けすることで内陸部の京都まで運んだ結果、生まれたものです。今では、京都の三大祭りでは欠かせない食べ物となっています。
さて、鯖は鮮度が落ちるのが早いと話しましたが、鯖には旨味成分であるヒスチジンが多く含まれているので、新鮮だととても美味しい魚です。しかし、死ぬと短時間でこのヒスチジンがヒスタミンというアレルギーの原因物質の一つに変わってしまうため、中毒をおこしてしまいます。そこで、塩漬けしたり、酢漬けにしたり、または、屋久島の「首折れサバ」のように漁獲後に首を折って血抜きを行い氷水で冷やすことで鮮度を保っているのです。ことわざの「鯖を読む」も、鮮度が落ちるのが早い鯖を早く売るためにいい加減に数えて販売していたのが由来です。
ところで、主に日本で流通している鯖は、マサバ、ゴマサバ、タイセイヨウサバの3種類です。そのうち、日本で水揚げされるのは、マサバとゴマサバ。マサバはヒラサバとも言われ、天然だと大分の関サバ、愛媛の岬サバ、宮城の金華サバなどが有名です。養殖だと、福井のよっぱらいサバ、長崎のハーブ鯖、佐賀の玄サバなどが有名です。背中の模様が特徴で、お腹は真っ白です。
ちなみに、一般的に回遊魚である鯖と違い、大分の関サバは瀬付きであることが多く、餌に恵まれた海に住みつくことで身が引き締まり、脂ののりも良くなるので、あの独特のコリコリした食感が生まれるのです。
ゴマサバは、マサバよりも丸くマルサバとも呼ばれますが、マサバよりも小ぶりです。
旬の時期を比べると、マサバのほうが脂ののりもいいです。
タイセイヨウサバは、ヨーロッパでは馴染みの魚です。フランスではエイプリルフールのことを「4月の魚」と言いますが、これは簡単に大量に水揚げされる鯖が由来だとか。旬の時期に水揚げされたサバは、急速冷凍されて輸入されていますが、脂ののりはこの3種類の鯖の中では断トツです。だから、焼き鯖にするならこのタイセイヨウサバが一番でしょう。
青魚の王様と言われる鯖は栄養価が高く、脳を活性化するDHAや血液サラサラのEPA、ビタミンかカルシウムも豊富ですし、これから脂がのって益々美味しくなります。食べ過ぎて、体重もサバを読まないようにしないといけませんね。