2024年8月のテーマ ヤリイカ ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「ヤリイカ」です。
イカにも色々ありますが、夏が旬と言えば、福岡ではヤリイカですね。
でも、実は、九州でのヤリイカは方言になり、標準和名はケンサキイカになります。
そして、標準和名のヤリイカもいるからややこしいですね。
標準和名のヤリイカは、まさに頭がヤリのように尖っていて、腕も短く、冬が旬です。
一方ケンサキイカは、ヤリイカよりも丸みを帯びていて、腕も長いです。
ちなみに、このケンサキイカ、山陰では白イカや赤イカと言い、広島では水イカと言ったりします。しかし、九州で水イカというと標準和名がアオリイカだったりするので、ますますこんがらがってしまいます。なぜこのように地域によってイカの呼び名がバラバラかと言うと、イカは足が早いためその地域でしか消費されず、その土地の呼び名が方言として残ったからです。
今日は福岡での呼び方であるヤリイカ、本当はケンサキイカの話をしますので、間違わないようにしてください。
ヤリイカは寿命が短く成長が早いイカで、メスよりオスのほうが大きく、40cmを超えるものもあります。
普段は水深100mほどの海域に生息していますが、暖かくなると50mくらいまで上がってくるので、夏になるとよく獲れるようになります。
さて、そもそもイカというのはとても不思議な生き物です。
タコと同じく心臓は3つあり、腕は8本プラス触腕2本で計10本になります。
このパワフルな心臓を使って勢いよく水を吹き出し、腕の推進力、そして、エンペラと言われるヒレを使って時速40キロで泳ぐと言いますから、オリンピック選手も真っ青ですね。
この腕には獲物を捕まえるための吸盤が付いていますが、タコと違うのは、内側がザラザラしていること。これで逃がさないように引っ掛けるんですね。
また、目はとても大きくて人間並みによく見えます。
そんなイカを目利きするときのポイントですが、生の新鮮なものは、身が半透明で、指で押すと色が変わります。そして、全体的にはりがあるものを選ぶようにしましょう。
さて、日本語でイカという音には、食べられる生き物という意味があります。そして、イカという名前ですが、漢字で「烏」に盗賊の「賊」と書きます。
これは、死んだふりをしたイカを食べようと近づいてきたカラスを襲って海に引きずり込んだという中国の故事が由来です。そんなイカの口は黒くて固いくちばしのようになっていて、「カラストンビ」と言われています。これは偶然なのでしょうか?
また、私たちがイカの耳と言っているエンペラですが、これはナポレオンの帽子が由来です。なんとなく、帽子をかぶったナポレオンとイカの頭って似ているでしょ?だから、皇帝=エンペラーというわけです。
まさしく、夏の魚介類の皇帝でもあるヤリイカ、是非、今夜にでも味わってみませんか?