FM 福岡 FUKUOKA

2024年6月のテーマ 鱧 ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「鱧」です。



鱧は温かい海を好むため、新潟、宮城県から南の海域にいます。
また、海外では、やはり温かいアジア、アフリカの沿岸に分布しています。

鱧の栄養素ですが、タンパク質と脂質が非常に多く含まれているのが特徴です。
淡泊な印象ですが、脂質も多いんですね。
鱧の脂質には、悪玉コレステロールを減らす働きがあるDHAが多く含まれています。
そして、夏バテ防止にぴったりなビタミンAを豊富に含んでいたり、塩分を排出するカリウムも多いです。
そして、コラーゲンが多いので、アンチエイジングにもぴったりです。
また、骨も一緒に食べるので、カルシウムを摂ることもできます。

さて、この鱧という言葉の由来ですが、性格が獰猛で何にでも噛みつくことから、「食む」が変化した、また漢字は、生命力が豊かなことから付けられたと言われています。

そんな生命力が豊かな鱧にスポットが当たったのは、いにしえの京都。
冷蔵庫もなかった時代に海辺から京の都へ海の魚を運ぶと傷んでしまいますが、陸に揚げても生き続ける鱧は京のひとたちが夏場に口にできる貴重な海の魚だったのです。そこでこの鱧を美味しく食べるために技術を発達し、骨切りという技法が生まれます。「骨切りは一寸(約3cm)に25本」という言葉があるように、およそ1mm幅で皮一枚を残して切っていきます。京都ではこれが出来て一人前の料理人と言われる技術です。ところで、この骨切りにはもう一つの効果があります。鱧はコラーゲンが多いため肉質が固く、そのままだと嚙みちぎるのにも苦労するのですが、骨と同時に身も切ることで、コリコリと食べやすくなるというわけです。



ちなみに、私たちは鱧の料理と言えば、湯引きしたり、天ぷらにするくらいしか思い浮かびませんが、江戸中期の1795年に出た料理本「海鰻百珍(はむひゃくちん)」には、100種類以上もの鱧の料理法が載っているそうです。とても興味が湧きますね。

最近はお店だけではなく、一般家庭向けにも売られるようになってきました。
初夏の味を楽しみませんか?