FM 福岡 FUKUOKA

2024年5月のテーマ 新じゃが ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「新じゃが」です。



じゃがいもは、世界に2,000ほどの品種があり、日本で栽培されているのは、そのうち20種類程度です。
ナス科ナス属のじゃがいもは、南米のアンデス高原が故郷だと言われていて、海抜3,000m以上もあるアンデス山系の高地には、野生のじゃがいもが今でも存在しています。
アンデス高原には、インカなどの文明が栄えましたが、それを支えたのがじゃがいもで、推定ですが、およそ1万年前から食べられていたようです。
このじゃがいもをヨーロッパへと持ち込んだのは、南米を征服していった、スペイン人。
15世紀のことです。

ヨーロッパに渡ったじゃがいもは、芽に毒があることが知られていなかったため、エリザベス1世が食べて中毒をおこしてしまい、それを知った庶民は食べようとせず、観賞用となりました。
こんなに評判が悪かったジャガイモを世間に広めたのは、ドイツのフリードリッヒ大王です。
生育期間が短く、太陽の光をあまり必要としない性質に目をつけて、冷害による穀物の凶作から人々を救う作物として、栽培を奨励、1740年頃には、国内の各地を回ってはジャガイモを自ら農民の前で食べ、盛んに宣伝。
そのかいあって、ドイツ人はジャガイモを主食としてよく食べる様になりました。
一方、大変な不況に見舞われたフランスでも、ドイツに倣って、食用として広めようと考えました。
それに一役買ったのは、マリー・アントワネット。
毎晩、夜会に出ては、頭に、ジャガイモの花を飾りました。
すると、じゃがいもの花は、白く、とてもかわいらしかったため、上流社会で大流行。
我先にと、ジャガイモを植えるようになりました。
さらに、昼間は畑に見張りを立てるものの、夜は警備をといて、国民が盗みやすいようにしたんだそうです。
そのお陰で、フランス全土にじゃがいもは広まり、恐る恐る食べてみたら、美味しかったというわけです。
かくして、ヨーロッパの2つの国の飢饉を救ったじゃがいも。
ドイツ、ポーランド、ロシアなどでは主食になり、フランスでは「大地のりんご」とまで呼ばれるようになりました。



さて、じゃがいもと新じゃがの違いですが、収穫と出荷時期です。
新じゃがは、完熟する前に収穫してすぐに出荷されたもの、普通のじゃがいもは茎や葉が枯れて土の下のじゃがいもに栄養がしっかり蓄積されてから収穫し、貯蔵され熟成したものになります。
新じゃがは、瑞々しく、皮が薄く、ビタミンCが多く含まれます。
今だけしかない新じゃがを是非、お楽しみください。