2024年3月のテーマ 早生キャベツ ①
ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「早生キャベツ」です。
キャベツは古代ギリシャやローマでも食べられていた、世界最古の野菜の一つ。
世界でもっとも食べられている葉野菜とも言われています。
その原種はあの健康食品で有名なケール。
人は、長い時間をかけてケールを品種改良し、葉が丸まって球状になったものがキャベツと言うわけです。
同じようにケールから品種改良されたものに、原種に近い表面が縮れた「ちりめんキャベツ」、小さな芽キャベツ、ヨーロッパでは良く食べる茎が太くなったコールラビ、花の集まりを食べるブロッコリー、カリフラワーなどがあります。ちなみに、似たような形のレタスはキク科の植物で、キャベツの仲間ではありません。
日本では、戦後、食事の洋風化が進んで消費が増え、今や大根や玉葱に次いで収穫量が多い野菜です。品種も多く、日本国内だけでもおよそ500種類が公表されています。
で、その食べ方ですが、何と言っても千切りキャベツが一番多いのではないでしょうか。この千切りキャベツを生んだのは明治時代から銀座にある「煉瓦亭」という洋食屋さん。当時、野菜を生で食べる習慣はなく、とんかつの付け合わせとして出していたのは温野菜。しかし、付け合わせ担当のコックがいなくなり、キャベツの一夜漬けをヒントに、一夜漬けにするなら生でも食べられるのではないかということで、千切りして生で出すと、口の中がさっぱりすると大好評。こうして、とんかつの良き相棒として、キャベツの千切りが生まれました。でも、キャベツには胃の働きを高める効果もあるので、偶然であるにせよ、栄養的な面から言っても、ベストパートナーだったんですね。
さてキャベツは一年中出回っているイメージがありますが、これは暑さを嫌って南から北へ、平地から高原へと産地を変え、全国各地に大規模な専業農家さんがいるおかげです。その中でも大きく3つのタイプがあり、それぞれに味わいが違います。春にまいて夏から秋にかけて収穫する夏秋キャベツは、葉が薄くて少し硬めで緑色が濃く、生で食べるのに適していると言われています。そして、初夏にまいて秋の終わりから冬にかけて収穫する冬キャベツ。これは寒玉とも言われ、葉の巻きが強くてずっしりと重く、甘味があって柔らかいので、加熱するのによく、例えばロールキャベツやお好み焼きにぴったりと言われています。そして、今が旬、早生キャベツは、またの名を春キャベツとも言い、巻きがゆるやかで葉もやわらかく、甘味もたっぷりあるので、生食に最も適しているキャベツです。
ところで、キャベツを見ていると、一部紫色になっているものが、ありませんか?
実はコレ、寒さにあたった証拠なのです。キャベツは寒さにあたるとアントシアニンという色素が出やすくなり、紫色が出てきます。また、寒さに耐えることで甘味がグッと増します。ということで、紫色を見たら甘くて美味しくなっていると思ってください。
ドイツには、有名なキャベツ料理「ザワークラウト」がありますよね。千切りキャベツの塩漬けで、お酒のお供にもぴったりです。ということで、ドイツには「ビール1本と塩漬けキャベツは、医者から金貨を奪い取る」ということわざがあります。もちろん、健康になるからという意味です。決して、お酒が好きだからということではありませんが、私もことわざ通り、この春はキャベツとお酒で健康になりたいと思います。