FM 福岡 FUKUOKA

2023年4月のテーマ 新玉ねぎ ①

ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月様々な食材を因数分解。
歴史雑学からプロに聞く扱い方、簡単レシピを紹介していきます。
今月の食材は、「新玉ねぎ」です。



玉ねぎの原産地は、中央アジアや地中海沿岸と言われ、古代エジプトやギリシャでも栽培されていた歴史ある野菜です。
欧米では、料理のベースとして使われることが多いため、「西洋の鰹節」とも言われています。

日本へは明治になって輸入され、洋風料理の普及とともに、消費が拡大した、比較的新しい野菜ですが、現在では、日本国内の収穫量が第3位となるほど人気の野菜です。
その魅力は、一年中食べられることにあります。
品種改良や栽培方法、そして、南北に長い日本の地理的特徴を生かして生産され、さらに、貯蔵して出荷を調整できるので、いつでも食べられるというわけです。

国内で出回る主な品種は、「黄玉ねぎ」と「赤玉ねぎ」です。
「黄玉ねぎ」は、皮が薄茶色で辛味が強いものです。
「赤玉ねぎ」は、皮が赤紫色で、水分も多く、甘味があるので生食に向いています。
他にも、果肉がやわらかい「白玉ねぎ」、葉付きのまま収穫する「葉玉ねぎ」、小さな「ペコロス」などもあります。

でも、なんと言っても、今の時期は「新玉ねぎ」です。
一般的な「黄玉ねぎ」は収穫後に乾燥し、貯蔵してから出荷されますが、「新玉ねぎ」は、収穫してからすぐに出荷されるものです。
そのため、皮が薄くて甘味が強く、とても瑞々しくて刺激も少ないのが特徴。
生食でも良いし、火を通しても、舌触りがよくトロトロになります。

ちなみに、玉ねぎを炒めると、カラメル色になって独特の甘さが出ますが、これは、水分が蒸発し、細胞が壊れてブドウ糖、果糖、ショ糖などの糖が出てきて、濃縮されるからです。
まさに砂糖を火にかけるとカラメルになるのと一緒なんですよ。

また、私たちは玉ねぎのどこを食べているかと言うと、葉になります。
玉ねぎを縦に切ると、一番下に芯のようなものがあるのは、分かりますか?
アレが茎で、そこから重なり合うように出ているのは、葉なんです。
玉ねぎは乾燥地帯で生まれたので、葉に水分と栄養を貯めるようになったんですね。

ところで、玉ねぎを料理する時につきものの涙。
独特の匂いのもとでもある硫化アリルが原因ですが、抑える方法がいくつかあります。
まずは、切る前に玉ねぎを冷やすこと。すると、催涙成分が飛び出しにくくなります。
あとは、横に切るより縦に切ったり、包丁を水で濡らすと、出にくくなります。
また、軽く加熱することでも、成分が変化するので、抑えられます。

さて、これだけ美味しい玉ねぎですが、使わなかった皮を捨てていませんか。
この中には、ケルセチンという抗酸化作用を持つ成分が含まれています。
私も美容のために、捨てるのではなく、ベジブロスなどに活用しようと思います。