2023年2月のテーマ 春菊 ①
今月から始まりました、ふくおか グルメ手帖。
この番組では、毎月旬の食材を取り上げ、様々な角度から紹介していきます。
2月の食材は、鍋で目にすることが多いでしょうか、「春菊」です。
名前は春の菊ですが、旬は11月~3月にかけての寒い冬の時期です。
この時期の春菊は葉が柔らかく、ほのかな苦味もあり、香りも高く、風味も良くなります。
そして通常、菊の花は秋に咲きますが、この野菜は、春に菊に似た小さな黄色い花が咲くため春菊と言われています。
地中海沿岸が原産地ですが、元々ヨーロッパでは味や香りが好まれず、観賞用でした。
それが中国に渡ると「食べる風邪薬」となり、室町時代の日本へと伝わります。
春菊は、病気や害虫が少ないことから育てやすく、根ごと抜きとらずに株元から刈り取ると、残った株からさらに数回収穫することができるという非常に優れた野菜だったため、瞬く間に普及し、江戸時代には一般的な食材となりました。
さて、この春菊。
実は、栽培している地域で微妙に品種が違います。
まず、葉の大きさによって、小葉、中葉、大葉の3種類があるのですが、関東では、葉の切れ込みが深い「中葉」が多いです。
関西も「中葉」ですが、「菊菜」と言われ、形がちょっと違います。
葉が丸みを帯びていて、切れ込みも深くありません。
しかも、苦味や香りも少なく、マイルドになっています。
福岡市で多く栽培されているのが「博多春菊」です。
博多春菊は、有機肥料を積極的に使用し、「茎しゅんぎく」と呼ばれるほど茎がやわらかく、苦味やえぐみが少ないのが特徴です。
北九州市で栽培されているものでは、「ローマ」や「大葉」と呼ばれるものがあります。
葉が厚くてギザギザしてなくて、しゃもじのような形をしています。
ちなみに、春菊は英語で「クラウン・デイジー」と言いますが、そもそも食用ではなかったので、ピンとこない人も多いそうです。
しかし、最近では、和食が世界遺産になったために食べる人も増えてきたとか。
これから先、椎茸などと同じように海外でも「シュンギク」と言って通用する日がくるかもしれませんね。