FM 福岡 FUKUOKA

2018年9月22日の Aimerさんをプレイバック。



2017年の4月から2019年の6月までの2年と2カ月、新旧話題のアーティストをお招きして、その音世界についてアーティスト自らじっくり紐解いていただいた『SOUND PUREDIO presents 音解』。
そんな「音解」がひさびさに復活。

過去に登場した全117回、合計82組のアーティストの中から、今こそ改めて振り返りたいお宝音声をプレイバック。パーソナリティも再び集まり、当時の思い出とともに振り返ります。

今週と来週は 2018年9月22日と27日に登場してくれたAimerさんを振り返ります。今週は9月22日の回。



当時のブログを読む →
9月22日のゲストはAimerさんでした - SOUND PUREDIO presents 音解(おととき)


「今回は『声』をテーマに興味深いお話が聞けましたね」

魅力的で個性あふれるAimerさんが語る「声」の話。
この番組で、数々のミュージシャンが愛してやまないこだわりのギターやピアノ、さまざまな楽器について語ってくれたように、今回は例えれば「楽器としての声」についてのお話を聞くことができました。

今回振り返るのは、ちんと香月千鶴さんです。


この回をradikoタイムフリーでもう一度聴く! → 
FM福岡 FM山口(確認中)
(radikoタイムフリー、放送後1週間に限り放送エリア内(無料)とプレミアム会員が聞くことができます)


当時は、まだまだ媒体への露出なども極力抑えられていて、ミステリアスなイメージだったAimerさん。

どんな人なんだろう?と期待と不安で待ち構えていると、ふんわりとスタジオに登場したAimerさん。
自身がピックアップしたドライビングミュージックにちょっとビックリ。

それは、マーク・ロンソンの「Uptown Funk ft. Bruno Mars」でした。

「今年の夏のファンクラブツアーのアンコールでカバーした曲です。 しかも若干のフリつきで(笑)。
皆さんと一緒に盛り上がる瞬間が欲しいなと思って。気持ちを持ち上げてくれるナンバーをカバーしようと思ってこの曲を選びました」

マーク・ロンソンの来日コンサートにも行ったそう。
なんだか最初は少し意外だったのですが、今回と次回のインタビューを通して振り返ると、今のAimerさんはそんなモードだということもわかってきます。

インタビュー時はちょうど7周年を飾る15枚目のトリプルA面シングル「Black Bird / Tiny Dancers /思い出は奇麗で」が発売されたばかりでした。

それぞれ違うタイプが収められたこのシングルですが、全体に一つの共通するテーマがあるそうです。

それぞれの主人公がそれぞれに、小さな頃の思い出とか夢とかを支えにして今生きている、っていうのがテーマになっています。 色や温度、ベクトルは違うんですけど、そこは共通のものにしたいなと思いながら、歌詞を書いていきました」

「思い出は綺麗で」は同時に発表されたアニメのMV(ミュージックビデオ)が素晴らしく、実は2013年に発表された「今日から思い出」の楽曲とMVと連なる作品になっています。

「この曲はMVも想定に入れて作り始めた曲で、もともと『今日から思い出(2013)』で、ただただ悲しい曲を作ってしまったものですから(笑)。今回の『思い出は綺麗で』で同じシリーズとして、ある意味続編のようなMVを作って過去の『今日から思い出』のストーリーを救ってあげたい、という思いもありました」


香月さんとスタジオで振り返りながら「ちんさん、泣いちゃったそうですね」なんて。ちんが香月さんにイジられていましたけど、ま、たしかに。

Aimerさんの楽曲はダークで重い楽曲もありますが、同じくらい包まれるような優しさと開かれた気持ちを讃えた楽曲があるのですね。しかもこの曲、父と娘がテーマだったりしますのでついつい...ま、それはいいとして。


さて、この回の音解では、このシングルから「Black Bird」をピックアップしてAimerさんご自身で解説をしてくれました。音解の中でも珍しいくらいに『声』を出すということ、表現としての『声』について非常に興味深いお話を聞かせてくれました。

映画『累-かさね-』の主題歌となる『Black Bird』は「台本や原作のマンガを読ませていただいて、詩を書いたシリアスなナンバーです」と作詞についても映画に沿って書かれたことを教えてくれました。

実際、出来上がった作品を劇場で見たAimerさん、感激もひとしおだったようです。

「映画館で観て、本編で高まった気持ちが、エンドロールで自分の声が流れてきた瞬間にはちきれてボロボロと泣いてしまったんです。やっぱり感動しちゃうものがありましたね」

そう言って少しはにかんだように笑うAimerさんですけど、この『累-かさね-』のもともとのストーリー自体が、Aimerさんのデビュー以来取り組んできたテーマと共鳴するところ多いようにも思えます。

「本当にそのとおりで、自分自身も特に歌詞を書く時には、相反する悲しみと喜びや、嬉しさと悲しさとか、どちらか一方じゃなくてどちらも描きたいっていう自分のこだわりがあるので、この作品にもとてもシンパシーを感じました」

結果、とてもAimerさんらしい楽曲となったこのナンバーは、さらに心揺さぶる歌唱が光ります。
そしてその歌い方にも、驚くほど細かいこだわりがつまっているのでした。

「全体的なことでいえば、この曲のキーを決めるときに、もう少し高くすることもできたんですけど、あえて低く。なんでかって言うとサビのパートでは言葉が詰まってまくしたてるような形なんですけど、そこをあえてちょっと余裕があるキーにすることで、一つ一つの言葉が伝わることのほうを優先しました」

こんな風にキーの設定から細かくお話してくれるAimerさんは、歌に関しては人一倍こだわりがあって、楽曲ごと、パートごとに自分の声を楽器のように選んで使い分けながら作品作りをしているようです。

「この曲では、ミステリアスで不穏な雰囲気の楽曲なのでそれに合うような声色にしたいなと思って。ドスの効いたというか、ちょっと情念を込められるような声を意識しました。そして激しい曲なので、言葉尻のアクセントをはっきりして意味をしっかり込めたいなんて思いもあったし、(2人の女性の映画なので)女性の艶やかさみたいなものを表現したいなと思って。なるべく男性の荒々しさというよりも、艶やかでいながら激しいっていう『うまい塩梅』で表現したいなと思って歌ってます」

本当に自分が書いた歌詞に込めた思いと映画の一部として機能する楽曲を、ボーカリストとして表現するために徹底的に1音1音までこだわっていることに圧倒されました。そして、いつもそんなことを考えているんだろうなあ、と思わせるくらい流れるように、そして楽しそうに話すAimerさんにも圧倒されます。

そこまで声にこだわるAimerさんって、自分の声のなかで「嫌いな声」ってあるんですか?

「すっごくあります。 簡単に言うならば『響いていない声』がすごく嫌いで。んでも、まぁ、そんなに聞いてないよってよく言われるんですけど(笑)」

じゃあ、そういうやり直しって多いんですか?

「多いんですよ(ニッコリ)」


そんなやりとりを振り返りながら、香月さんとちんはスタジオで感心することしきり。

「改めてこの曲を聞くとまるで女優のよう」と香月さん。

まさに映画と同じく女優のように声で演じ、楽器をコントロールするように声を操る。
そんなAimerさんのお話は次週、さらに深く知ることになります。


さて、そんなAimerさんの今年、2020年。

9月9日に、通算19枚目のシングル『SPARK-AGAIN』をリリース予定。先行配信はすでにスタートしています。

この曲、TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』テーマソングです。

アニメの主題歌でもおなじみのAimerさんですが、実は2015年6月リリースの「Brave Shine」以来久しぶりの
アニメのオープニングソングです。

ヒットしたTVドラマ『あなたの番です』主題歌「STAND-ALONE」に連なるラインで疾走感あふれる、パワフルなナンバー。メジャーデビュー曲の「六等星の夜」からずっとタッグを組んでいる飛内 将大さんの楽曲です。


ちなみに現在のところ、9月から予定されていた『Aimer Acoustic Tour 2020』の全公演は中止が発表されて残念ですが、いずれまたこの楽曲をステージの上で跳ねるように歌うAimerさんを待ちたいところですね。

詳しくはAimerさんのオフィシャルWEBサイトでご確認ください。

Aimer Official Web Site (外部リンク)


次週は今週に引き続き、2018年9月27日放送のAimerさんを振り返ります。

どうぞお楽しみに!