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提供:創価学会
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2020年3月7日「乙女の祈り」

どこかはかなげな響きが胸に沁みる『乙女の祈り』。
とても有名な曲ですが、作曲者の名前はほとんど知られていません。

その名はテクラ・バダジェフスカ。19世紀のポーランドの女性ピアニストです。

本格的な音楽教育を受けていないバダジェフスカでしたが、22歳で『乙女の祈り』を作曲。自ら本屋などでその楽譜を手売りしました。
それがたまたまフランスの音楽雑誌で紹介されると人気に火がつき、世界中で百万部以上の楽譜が売れたのです。
レコードもラジオもない時代。異例の若さで世界初とも言われるミリオンヒット曲を生み出したバダジェフスカの名がなぜ知られていないのか?

彼女は結婚して5人の子どもに恵まれますが、27歳の若さでこの世を去りました。
またポーランドの彼女が暮らした町はその後、第二次世界大戦などの戦火に焼かれ、彼女に関する写真や資料はまったく残っておらず、家族の消息さえもわからなかったのです。

歴史の中に埋もれてしまった『乙女の祈り』の作者、テクラ・バダジェフスカ。
しかし最近になって彼女の作品が数曲発見され、再評価する研究が進んでいます。
近年、ポーランドの荒れ果てていた彼女の墓はキレイに整備され、花やロウソクが供えられています。