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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2020年3月14日「自分の目で確かめる」

昭和40年3月14日、沖縄の西表島で新種の山猫が発見されました。
人間も暮らしてきた小さな島に山猫が棲息し、それが現代になって発見されたことに世界中が仰天しました。
発見したのは、戸川幸夫さん。動物文学で有名な作家です。

じつは西表島の人たちが「山猫を見た」という話は昔からありました。
でも多くの学者は「飼い猫が逃げて野生化したのだろう。こんな狭い島に山猫がいるわけがない」と相手にしなかったのです。
戸川さんは「この目で確かめてみないと、飼い猫が野生化したものとは言えない」と考えました。
作家になる前は新聞記者をしていた彼は、記事を書くときは必ずそこに行って取材をし、自分の目で確かめたものだけを書いていたのです。

西表島に赴き、島民たちの話を聞き、森の中を歩き回りました。
が、山猫に遭遇することはできませんでした。
そこで島民たちの協力で山猫のものと思われる毛皮や骨を探し集め、それを東京に持ち帰り学会に鑑定を依頼。
その結果、山猫の新種だということが分かったのです。

この山猫に名前を付ける際、発見者の名を取って「トガワヤマネコ」とする提案が上がりましたが、戸川さんはそれを辞退。
「この猫は西表島の人たちのそばでずっと生きてきたのだから」と、「イリオモテヤマネコ」と名付けるよう提案したそうです。