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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2020年2月22日「柔道の伝道者」

『怪談』の作者としてよく知られる小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが日本に来たのは明治23年。
英語教師として島根県松江の尋常中学校に赴任します。
ハーンの授業ぶりは大評判となり、その名は日本中に広がっていきました。

そんな彼を英文学講師として引き抜いたのが熊本の旧制第五高校。
熊本駅に降り立ったハーンを出迎えたのは、校長を務めていた嘉納治五郎です。

柔道の創始者として知られる嘉納ですが、優れた教育家でもありました。
嘉納に出会ったハーンは瞬く間に嘉納の人柄に魅せられてしまいます。
嘉納が学生たちを相手に指導していた柔道場に足を運んで見学し、嘉納本人からもいろいろな話を聞くうちに、ますます嘉納を敬愛していきました。

とりわけ、嘉納の説く柔道の本質が、相手の力を利用して勝つ、すなわち逆らわずして勝つことに大いに感銘を受け、ついには『柔術』というタイトルでエッセイを書き、その作品を収めた本が欧米で出版。
ニューヨークやロンドンで版が重ねられ、多くの人に読まれるようになり、嘉納が主宰する講道館へ外国の政治家や外交官、教育学者などが次々に見学に訪れました。

やがて柔道は国際的なスポーツへと発展。
オリンピックで正式競技となるまでの道のりの礎には、ラフカディオ・ハーンの存在があるのです。