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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年12月21日「奇跡のクリスマス休戦」

1914年12月24日。この年、ヨーロッパでは第1次世界大戦が始まり、西部戦線ではドイツ軍とイギリス軍が塹壕を掘って向き合い、寒さと疲労に耐えながら戦っていました。
でもこの日の夜は銃撃の音が響くことは無く、ドイツ側の塹壕から『きよしこの夜』の歌声が聞こえてきたのです。
それを聞いたイギリス兵も『きよしこの夜』を歌い返しました。
そして夜が明けると、どちらともなく両軍の兵士たちが丸腰で塹壕の外に出て歩み寄り、手を握り合ったのです。

自然に始まったクリスマス休戦。
彼らは両軍の戦死者の遺体を運び、合同で埋葬式を行いました。
互いの煙草を交換して火をつけ合う両軍の兵士。
やがて酒を酌み交わしたり肩を組んで記念写真を撮ったり、あり合わせの材料でクリスマスツリーを飾ったり。
ボールの代わりに土嚢や空き缶で、サッカーの親睦試合も行なわれました。

しかしこれを知った両軍の司令部、つまり戦場の現場にいない上層部は「このような非公式の休戦は認めない」とし、その部隊を厳しく処分します。
その後戦争は4年続き、二度と奇跡は起こりませんでした。

戦場で生まれた奇跡のクリスマス休戦。
このときのことを兵士の一人が日記にこう記しています。
「戦争というものがばかばかしく思えてきた。一刻も早く終わらせなくてはならない」