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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年11月9日「世界のタケミツ」

1967年11月9日、米国の名門オーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックの125周年記念作品として『ノヴェンバー・ステップス』という作品がニューヨークで演奏されました。
作曲したのは日本の武満徹。
現代音楽と日本の伝統楽器を融合させた作品で武満は現代音楽家として世界的な評価を得ます。
しかし彼の音楽の資質はほとんど独学で培われたものでした。

高校卒業後に東京芸術大学作曲科を受験するものの、「作曲をするのに学校だの教育だのは無関係だ」と考えて試験2日目を欠席。
この時期から独学でピアノ曲を作っていました。
またプロの作曲家としてデビューする前はピアノを買うお金がなく、町を歩いてピアノの音が聞こえるとその家を訪ねて「30分だけ弾かせてください」と頼み込み、ピアノを弾かせてもらうという暮らしをしていたそうです。

このことについて武満本人は「1軒も断られなかった」と回想していますが、その行動に付き合った友人の証言によると、何度も続くとさすがに断られることもあったのだとか。
いずれにしても、音楽を志しているとはいえ見ず知らずの青年が「ピアノを弾かせて欲しい」という申し入れを、「しょうがないな」とおおらかに受け入れてくれた時代でした。
これからの時代、再び日本から「世界のタケミツ」は出るでしょうか。