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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年10月19日「森を守る人」

屋久島に自生する屋久杉は木材として高く評価され、戦後の復興期には次々に伐採されていきました。
これに疑問を持ったのが木こりの高田久夫さん。
「こんなに切り倒していくと、やがて森がなくなってしまう」
そう思っても自分は木を切り出すことが生業。それを止めることはできません。

そこで目を付けたのは土埋木。
森には切り倒したまま運び出せない木や台風で倒れた木が昔からたくさん放置されていて、「土に埋まった木」土埋木と呼ばれていました。
土埋木は材木としての価値はあるものの山から運び出すのが困難で、誰も手をつけません。
しかし高田さんは難儀しながら木こりとしての知恵と技量で運び出していったのです。
さらに彼はその跡に杉の苗を植えていきました。

高田さんの行動は周りの仲間にしてみれば余計なこと。
そんなことをするより杉を1本でも多く伐採する方が手っ取り早くお金になる...そんな時代でした。
それでも彼は屋久杉の森で黙々と土埋木を山から運び出し、森の復活を夢見て苗木を植えていったのです。

やがて屋久杉の伐採が全面的に禁止され、平成5年に世界遺産となった屋久島。
それを見届けた高田さんは平成25年に亡くなりましたが、屋久島の森を守った伝説の木こりとして いまも語り継がれています。