2019年9月7日「アインシュタインの替え玉」
20世紀最高の物理学者といわれるアインシュタインですが、人物としてはお茶目な性格でした。
相対性理論を発表した彼は全米の大学で講演をする毎日を過ごしていました。
その講演を毎回聴いていたのが、お抱え運転手のハリー。
ある日、ハリーは車を運転しながら後部座席のアインシュタインに話しかけます。
「私は先生の講演をもう30回ほど聴いてすっかり暗記しました。先生の代わりに同じ話ができるかもしれません」
「これは面白い」と思ったアインシュタイン。次に講演する大学では自分の顔を知る者はだれもいません。
「ではハリー君。きみが私に成り代わって講演をしてもらおう。私はお抱え運転手としてその講演を拝聴するよ」
こうして、ハリーはアインシュタインに成り切って見事に講演をやり遂げたのです。
ところが、教壇から下りようとしたハリーの前に一人の研究者が立ちはだかり、相対性理論についての質問をしました。
それは極めて高度な内容で、話を丸暗記しただけのハリーに答えられるはずはありません。
しかし壇上のハリーは涼しい顔でこう言いました。
「その質問はとても簡単です。私が答えるまでもないので、代わりに私の運転手に答えさせましょう」
そう言って指差したのは、後方に座っている本物のアインシュタインなのでした。
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