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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年8月17日「世の中で一番怖い先生」

日本がオリンピックで初めてメダルを獲得したのは1920年のアントワープ大会。
テニスの熊谷一弥が、シングルス・ダブルス共に銀メダルに輝きました。

福岡県大牟田市に生まれ育った熊谷は小学生時代にテニスに出会います。
小学校には教職員のためにテニス道具一式がありました。
当時、テニスは大人がやるスポーツで、教職員たちが校庭にネットを張ってテニスの練習をする様子を、大勢の子どもたちが見物していました。

ある日のこと。教師の一人がテニスを見物している小学生の熊谷に球拾いを命じました。
その教師は熊谷にとって世の中で一番怖い先生。渋々球拾いを務めます。
やがて、ただ玉を拾うだけではつまらなくなり、その辺りに落ちていたラケットを握って、飛んでくる玉をひょいひょいと受け止めるようにしました。
何かの拍子に高くバウンドした玉をジャンプして打ち返したところ、それがいい角度で相手コートに飛び込ます。
その瞬間「うまいぞ!」という先生の声。
世の中で一番怖い先生から誉められた熊谷はすっかり有頂天になり、進んでテニスの球拾いを買って出ると、ラケットを握らせてもらいテニスに夢中になっていったのです。

晩年、熊谷は「あの先生の一言が私をテニスの世界にいざなってくれた」と語っています。