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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年6月8日「吉岡隆徳の夢」

いかに速く走るかを競い合う競技:100m競走。
陸上競技の華でもあるこの種目で日本人が初めて世界レベルに追いついたのは、1932年のロサンゼルスオリンピック。
吉岡隆徳さんが決勝に進出し6位入賞を果たしたのです。

彼の武器は世界最速を誇ったスタートダッシュ。
極端な前傾姿勢をとり、体が倒れる直前に足を出して推進力に変えるフォームを編み出したのです。
このスタートダッシュに磨きをかけた吉岡さんは、3年後に日本国内の競技大会で、当時の世界記録10秒3を3度マークしています。

吉岡さんの登場によって世界に肩を並べた日本の100m競走。
しかし今なお、日本人の世界記録保持者はもちろん、オリンピック決勝進出の選手は現れていません。
そのことを一番悔やんだのは吉岡さん自身でした。

彼は引退後に後進の指導に熱を入れますが、最晩年になって
「いったいワシは何だったのか。自分の教え子が自分を飛び越えてくれるから指導者をやった意味がある。
でも何十年かけてもまだ自分の記録が破られない」とため息をついています。

1984年に吉岡さんが亡くなってから35年の時を経た今、10秒の壁を破る9秒台スプリンターが二人も登場した日本。
2020年東京オリンピック100m決勝のスタートラインに、再び日本人が立つことに期待がかかります。