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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年5月11日「喜劇王が見た鵜飼い」

水鳥の鵜を使って鮎を獲る伝統的な漁法...鵜飼い。若葉の季節になると全国12の河川で鵜飼いが始まります。
きょう5月11日に始まるのは岐阜の長良川鵜飼い。
1300年以上の歴史をもち、伝統装束に身を包んだ鵜匠が篝火を使って鵜を操る漁法は国の重要有形民族文化財に指定され、唯一の皇室御用の鵜飼いです。

83年前の昭和11年、長良川鵜飼いを見て大絶賛した外国人がいます。
その人の名はチャールズ・チャップリン。世界の喜劇王です。
昭和7年に初来日したチャップリンは日本文化を大いに気に入り、4年後に再び来日。結婚したばかりの妻とともに京都見物の帰りに長良川鵜飼いを見物したのです。

そのときの思い出を彼は次のように語っています。
「夜の闇が美しかった。真っ暗な川上から6艘の鵜舟が次々に下ってきた。
明るい幻想的な篝火でひとつ、ふたつ...と鵜舟を数えることができたのだ。
聞こえるのは川のせせらぎと鵜を操る鵜匠の『ほうほう』というかけ声。
鵜飼いは光と闇が織りなす一遍の詩であり、鵜匠は詩人だった」

このチャップリンが語った鵜飼いの世界観は、図らずも、松尾芭蕉が詠んだ俳句に通じています。
「面白うてやがて哀しき鵜舟かな」
初めて鵜飼いを見物したその日に、チャップリンは見事に日本のワビサビを感じ取ったのでした。