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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年5月18日「ビールでドロンケン」

明治2年のきょう5月18日、徳川幕府最後の幕臣・榎本武揚が最後の拠点・函館の五稜郭を開城して維新政府軍に無条件降伏。
戊辰戦争が終結しました。

独立国家建設という榎本の夢は打ち破られ、東京に送られて投獄されます。
国家に反逆したということで、榎本は死刑を覚悟しました。
が、獄中の彼の暮らしは淡々としたもので、洋書などの差し入れを受けて読書に勤しみ、本の執筆をしたり、同じ牢内の少年に漢学や洋学を教えたりしています。
いっぽう政府内では榎本の才覚を高く評価した上で恩赦を決定。
獄中生活はわずか2年半でした。

釈放されることを知った榎本は獄中にビールを差し入れてもらっています。
釈放の前祝いとしてビールを飲んだ彼は、差し入れの礼状にこう記しています。
「夕食のときに差し入れくださった麦酒をたっぷり飲み、気分はうきうきです。
少々ドロンケンのため、乱筆をお許しください」
ドロンケンとはオランダ語で「酔っている」という意味。

榎本はかつて幕府に派遣されオランダに留学していたのです。
文面から相当にビールがお好きな様子が伺える榎本。
じつはオランダ留学から帰国するために艦長として乗り込んだ船・開陽丸には大量のビールが積み込まれていたそうです。
どうやら彼は3年間のオランダ暮らしで「ビールでドロンケン」の楽しさを知ったようです。