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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年2月9日「侍アイドル」

幕末にペリーが黒船で日本にやって来て開国を迫り、日米和親条約が結ばれました。
その後、日米通商条約をホワイトハウスで批准するために幕府の遣米使節団が太平洋を横断。日本が初めて米国を公式訪問したのです。

米国は使節団一行を国賓待遇で迎え、日本からやって来たサムライを一目見ようと、約50万人の市民がマンハッタンを埋め尽しました。
中でもアイドル的な人気を集めたのが、17歳の通訳・立石斧次郎です。

使節団一行がほとんど表情を顔に表さず威厳ある態度で米国民と接していたのに対して、立石は陽気で明るく、笑顔を絶やさずに人々とふれあい、おまけに英語が達者。
新聞の第一面に彼の全身写真とともに「日本人の陽気な男」というトップ記事が掲載されると、10代を中心に女性の心を掴み、彼が泊まるホテルには膨大なファンレターや花束が届けられたそうです。
ちなみに米国人が発音しやすいように、立石斧次郎ではなく「トミー」という愛称で紹介され、彼を讃える『トミー・ポルカ』という歌まで作られています。

じつは全米のアイドルになったこのサムライのことは日本ではずっと知られることはなかったのですが、昭和54年に『トミー・ポルカ』の楽譜が発見されたことから、立石斧次郎の存在が明らかになっています。