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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2019年2月2日「バスガイドことはじめ」

日本に初めて観光バスが走ったのは、東京でも京都でもありません。
それは大分県別府市。
別府で旅館を経営していた油屋熊八が昭和3年に大型バスを4台購入し、観光客を乗せて別府の地獄巡りを始めたのです。

その際に話題になったのは、16歳から19歳までの女子を募集してバスガイドに仕立て上げ、バスの中で観光案内をさせたこと。
それまでは考えもしなかった新しい観光のスタイルに人々は目を見張り、日本で初めてのバスガイドの声はレコードにもなりました。

ところが、この人気ぶりを快く思わない人たちがいました。
バスに客を奪われたタクシーの運転手たちです。
熊八の元に抗議に押し掛けた彼らは、バスの運行を止めるように迫ります。
しかし熊八はにっこり笑ってこう答えたのです。
「バスのおかげで別府が人気になったのだから、もう半年ほど待っていておくれ」

その言葉通り、観光バスとバスガイドの人気はその後もどんどん高まり、日本全国から観光客が別府に殺到。
熊八の観光バスはもちろん、タクシーも大忙しとなりました。
熊八は自分の商売ではなく、別府の町を盛り上げるために観光バスを走らせたのでした。

旅館の経営やバス事業だけではなく、別府の観光開発に尽力した油屋熊八はいま、別府観光の父として別府駅前に銅像となって笑顔を振りまいています。