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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2018年11月10日「お金も名誉もいらない」

ノーベル賞は20世紀に創設されましたが、それ以前に何度もノーベル賞に値する業績を挙げていた人物がいます。

その人の名はヘンリー・キャベンディッシュ。
18世紀・英国の学者で、水素を発見したことや、水が水素と酸素の化合物であることを発見した人物として知られています。
が、彼の死から70年後に公表された研究記録からは、驚くべき事実が明らかになりました。

たとえば電気に関してはクーロンの法則やオームの法則。
物理化学に関してはシャルルの法則やドルトンの法則。
これらは発見者の名を冠した法則ですが、じつは彼らより先に、そのすべてをキャベンディッシュは生前に実験を続けて導き出していたのです。

なぜキャベンディッシュはこれらの研究成果を発表しなかったのか。
彼は莫大な資産を受け継いだ貴族で、生まれつき高い社会的な地位にいたため、お金も名誉も必要としていませんでした。
有り余るお金と時間を研究に費やし、研究以外のこと、つまり、研究成果を発表することさえも興味がなかったのです。

そんなわけでノーベル賞のような名誉に無縁だったキャベンディッシュ。
ですが、彼の遺産を基にケンブリッジ大学に創設された「キャベンディッシュ研究所」から31人ものノーベル賞受賞者が輩出され、結果的に最高の名誉を手にしたのでした。