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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2018年1月13日「道後温泉物語」

愛媛の道後温泉は日本書紀にもその名が出てくる日本最古の温泉です。
しかし明治初期の道後温泉は農村の寂しい荒れ果てた湯治場でした。

そこで歴史的な温泉を再興しようと決心したのが、町の初代町長となった伊佐庭如矢。
観光で町興しをする発想が全くなかった時代に「百年経っても真似のできない建物を作って、百年後も人が集まる町にしたい」と、現在の金額で27億円をかけることにしたのです。
この金額は町の総予算の5、6年分。「町を潰す気か!」と猛烈な反対運動が起き、伊佐庭は命の危険にも晒されました。

しかし町民一人一人に「人が集まれば町は潤い、百姓や職人の暮らしも良くなる」と誠心誠意で説得。
明治27年に完成したのが、重厚で風格のある城郭式木造3階建ての道後温泉本館です。
さらに伊佐庭は、松山駅から道後温泉までの3キロの道に鉄道を敷設。
たちまち道後温泉は全国にその名を知られる温泉地となったのでした。

日本初の観光による町興しの成功モデルといわれる道後温泉。
町のシンボルとなった本館は国の重要文化財に指定され、温泉地としてミシュランガイドの2つ星に選定されています。

伊佐庭がかつて宣言した「百年経っても真似のできないものを作って、百年後も人が集まる町」は、百年以上経ったいまも彼が思い描いた町のままなのです。