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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2017年12月23日「マイ・クリスマスツリー」

サッチモの愛称で知られるジャズマン:ルイ・アームストロング。
1942年の12月、彼はバンドを引き連れてコンサートツアーをしていました。
この旅に同行していたのが、ルイと結婚したばかりのルシール夫人。
新婚の二人は一緒にクリスマスを旅先で迎えることになります。

その日、ルシールはホテルの部屋にこっそり小さなクリスマス・ツリーを用意しました。夫ルイへのサプライズです。
目論みどおり、演奏を終えてホテルに帰ったルイは、ツリーを見て驚き、目を輝かせて子供のように喜びました。

それにしても、夜が更けてもルイはいつまでも寝ようとしません。
部屋のあちこちから小さなツリーをためつすがめつして眺めたり、ツリーの飾りにそっと触れてみたり...。
ベッドに入っても俯せで頬杖をつきながら、まるで赤ん坊のようにツリーの飾りに見入っているのです。
不思議に思ったルシールが「なぜいつまでも見ているの?」と尋ねました。
するとルイはこう言ったのです。
「だって、これは僕の生まれて初めてのクリスマス・ツリーなんだよ」

ルシールがサプライズで部屋に飾ったツリーは、極貧の家に生まれ、子供時代にクリスマスを祝うことなどなかったルイが、42歳にして初めて持ったマイ・クリスマスツリーだったのです。

このツリーは、ルイのバンドとともに一週間ほど旅をしたそうです。