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2017年9月9日「数学者からの手紙」

ピーター・ディリクレは19世紀ドイツの数学者。
解析学や整数論で業績を成し、「ディリクレの算術級数定理」など彼の名を冠した定理や原理、理論が17もあります。

そんな偉大な数学者の妻となったのは、作曲家メンデルスゾーンの妹レベッカ。名門音楽家の出身だけあって華やかな社交家で、よく音楽家や文学者などを家に招いてサロンを開きました。
ところが偉大な数学者の夫ディリクレは人付き合いが大の苦手で、音楽や文学のこともさっぱりわかりません。
そこで妻がサロンを開くときは、書斎に籠って出てきませんでした。

人付き合いの悪さもさることながら、ディリクレは筆不精でも有名。
電話もメールもない19世紀で遠くの人に何かを伝えるのは手紙だけ。
しかも彼は手紙を書くということが死ぬほど嫌いだったのです。

そのディリクレが、どうしても手紙を書かなければならないはめになりました。
それは妻レベッカとの間に子供が生まれて、そのことを外国に暮らす両親に知らせなければならなかったのです。
ディリクレは渋々手紙を書いたのですが、それは文章ではなく、次のような簡単な数式でした。
「2+1=3」

偉大な数学者は、夫婦の間に一人の子供ができたことを、数学で表現してみせたのです。