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提供:創価学会
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2017年7月8日「モームの新聞広告」

『月と6ペンス』『人間の絆』などの名作で知られるイギリスの文豪サマセット・モーム。
もともとは医者でしたが、25歳のインターン生活で貧民街の患者と接した経験をもとに書いた小説『ランベスのライザ』が好評を得たため、医者をやめて文学で生計を立てる決意をしました。

しかし、ここからが大変。
次々と作品を出版しましたが、どれも売れ行きは芳しくなく、屋根裏でパンくずをかじる貧困と焦りの日々が続いたのです。

軽率に医者の道を捨ててしまった自分を後悔しましたが、泣き事ばかりいってはいられません。
自分の作品に絶対的な自信を持つモームは、本が売れないのは宣伝が悪いためだと考えました。
確かに、出版社は彼の本にあまり宣伝費をかけている様子はありません。
そこでモームは、自分のやり方で本を宣伝する方法をいろいろ模索します。

出した結論は「花嫁募集」。
ロンドンのすべての新聞社にモームは次のような個人広告を出したのです。
「当方はスポーツと音楽を好み、教養ある温和な若い百万長者です。
サマセット・モームの最近の小説に登場するヒロインにすべての点でそっくりな、若くて美しい女性との結婚を希望しています」

それから数日後。ロンドン中の本屋からモームの本が一冊もなくなりました。