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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2017年4月15日「雨を降らせる男」

ブラジル・サンパウロでは日照りが続いて水不足になると、水道局がある人に「雨を降らせてほしい」と依頼します。
その人は日系二世の今井威(たけし)さん。
依頼を受けた今井さんはセスナ機に乗って空に舞い上がります。
そして雲の中に入ると、積んでいた300リットルの水を60μ(ミクロン)の霧にして雲の中に噴射。すると15分後には雨が降り始め、2、3時間にわたってサンパウロの町に降り注ぐのです。

薬品を使って人工的に雨を降らせる方法はありますが、体に無害な水を使う人工降雨システムは世界で初めて。
1リットルの水から50万リットルの雨を産み出す計算になります。

今井さんは若い頃、農業用殺虫剤噴霧器のメーカーを経営していましたが、人体に有害な殺虫剤が嫌で、電動ノコメーカーに転向。
でもあるとき、自社のノコギリで樹齢何百年の木が切り倒されたのを見て
「命あるものを殺す仕事ではなく、命に恵みをもたらす仕事をしたい」と
大学で気象学の勉強を始め、人工降雨システムの研究に没頭したのです。

水を使う人工降雨をしながら、今井さんは水不足の根本解決は植林だと考え、50haの土地に1時間で5万の苗を植える種植え機を研究していました。
しかし2013年、心臓病のため72歳で死去。
命に恵みをもたらしたいという思いは、彼の会社のスタッフたちに引き継がれています。