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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2017年3月12日「最後の引越し」

3月は進学や就職、転勤などを控えた引越しシーズン。
一方、世の中には必要もないのにやたら転居を繰り返す「引越し魔」と呼ばれる人がいます。
江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎もその一人。
89年の生涯で彼はなんと93回の転居を繰り返しています。

北斎は生活のすべてを絵を描くことのみに集中し、部屋が汚れたり荒れたりしてもほったらかし。掃除をする気がまったくありませんでした。
そしていよいよ足の踏み場がないほど住まいが荒れてくると、その家を見捨てて引越しをしていたのです。
彼は絵の道具以外は一切の家財道具を持たず、また現代と違って面倒な手続きもなく、身一つで気軽に引越しができたようです。

そうして93回も引越しを繰り返した北斎ですが、その93回目の引越しのとき、北斎はやって来た新居を見て愕然とします。
なんとそこは北斎が以前住んだことがある借家だったのです。
それだけではありません。
その借家の中に入ってみてさらにびっくり。
そこには以前彼が引き払ったそのときのまま、部屋が散らかり汚されていたのです。

それを見た北斎は初めて自分のしたことが恥ずかしくなり、もう転居しないことを決心し、以後はこまめに部屋の掃除をするようになったそうです。