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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2016年11月6日「バーナード・リーチの知恵」

あす11月7日は冬の始まり 立冬です。
晩秋から初冬にかけて木枯らしが吹き始めると、ほっこりと暖かい炬燵が恋しくなります。
部屋全体を暖めるペチカやストーブと違って、必要最小限の空間だけを暖める炬燵は、世界中でほとんど日本だけで発展してきた暖房器具。
その始まりは室町時代にさかのぼり、江戸時代には床に置いた火鉢に櫓を据えて布団で覆った置き炬燵が庶民の間に広く親しまれていました。

明治42年の冬、当時日本で活躍していた英国人の工芸家、バーナード・リーチが東北のある家を訪ねて置き炬燵に入ろうとしました。
しかし正座も胡座もできない彼は炬燵にうまく入ることができません。
そこで気の毒に思った家の主が椅子を用意。
リーチは椅子に腰掛けて足の先だけを炬燵に入れてなんとか暖をとることができたのです。

この苦い体験から彼は、自分のような西洋人でも炬燵を楽しむことはできないものかと考えた末、東京の自宅の床に半畳ほどの穴を空けて炭を置き、その上に櫓を据えて布団を被せた腰掛け炬燵を作りました。

現在、一般的に掘り炬燵と呼ばれているものは、じつは日本の伝統ではなく、明治の日本で活躍した英国人、バーナード・リーチの知恵から産まれた作品だったのです。